1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63560026
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
米森 敬三 京都大学, 農学部, 助教授 (10111949)
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Keywords | カキ / 成熟 / ホルモン |
Research Abstract |
カキ果実の成熟過程は不明瞭な点が多く、成熟過程で顕著なエチレン生成が認められるわけでもなく、急激な糖の蓄積があるわけでもない。本年度はカキ果実の成熟がどのような要因でもたらされ、また成熟に伴ない果実内でどのような生理的変化が認められるのかを明らかにする目的で‘平核無'果実を用いて調査を行った。1.カキ果実の成熟とエチレンの関係を明瞭にするため、時期別にエスレル処理をおこない果実の反応性を調査した。その結果、どの時期の処理でも果実内にエチレン生成が誘導されたが、果実発育の第2期の処理では果実の成熟過程には影響が認められず、第3期の処理においてのみ成熟の促進が認められた。このことより、第3期には果実内に成熟へ向かう要因がすでに存在しており、エチレンはその作用を二次的に促進するものと思われた。2.果実内のタンパク合成が成熟を引きおこす要因となっている可能性がないかをSDS電気泳動によって果実内のタンパク組成を経時的に調査することで検討した。その結果、第3期にはいって新たに生じ、その後急激に増加するタンパクが認められ、タンパク合成と成熟との関係が示唆された。3.ヘタ片除去処理や温度処理により、果実の成熟過程を制御することで、成熟に関与する要因を明確にしようとした。この結果、ヘタ片除去によって果実の肥大・成熟を抑制したところ、果実中のショ糖含量が増加し、ショ糖の加水分解が阻害されていることが明らかとなった。このことは成熟開始としょ糖の加水分解に関与する酵素との関連を示唆した。4.成熟に伴う渋味の減少を引きおこす要因として、成熟過程で果実内に生じると思われるフリ-ラジカルを仮定し、その指標としての過酸化水素の成熟に伴なう経時的変化の測定を試みた。しかしながら、カキ果実中に存在する妨害物質のために測定が不確実となり、仮説を証明することができず、これからの研究課題を残した。
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