1989 Fiscal Year Annual Research Report
デンドロビウムの発育生理および品種生態に関する研究
Project/Area Number |
63560034
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
上里 健次 琉球大学, 農学部, 助教授 (10045122)
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Keywords | デンドロビウム / 発育生理 / 品種生態 / 栄養生長 / 光合成 |
Research Abstract |
沖縄で栽培されている切花用デンドロビウムの主要品種を対象に、年間における成長サイクルの動き、種々の発育特性および光合成様式について検討した。新しいシュ-トの萌芽およびその栄養成長の期間、その後バルブの成熟度に応じておこる花芽分化、その発達後に到達する開花などの一連の成長サイクルについては、その早晩および期間の長短にかなりの品種間差異が見られた、このことは開花期の調整にとって品種の組み合わせは重要な要素のひとつといえよう。しかしその反面、夏季冬季における温度較差の大きい亜熱帯の気象環境下では、萌芽、開花、休眠の成長サイクルを大幅に変えることは困難で、これは切花用デンドロビウムの原種の生態環境および現在の品種の成立過程の面から必然的なことと判断される。 一方、開花に関する特性調査の中で収穫時の品質の評価に比重の大きい花茎長、花序長、輪数についてかなりの品種間差があり、また主として花弁の幅の広狭の因子に左右される花形、消費者の好みの中心となる花色についても品種固有のそれぞれの特徴があり、その選択の幅はかなり大きいといえる。概して、丸弁タイプで花の大きい品種は草勢が弱く、細弁タイプで葉数の多い品種は株あたりの花茎本数が多く、落蕾のひん度は少なく、栽培環境に対する適応性が強いといえる。 また、栄養生長の基本となる光合成様式について1日の動きを調査し、平行してその能力の品種間差を検討した。その中でこのグル-プのランは夜間に炭酸ガスを取り込むCAM型に含まれることがわかり、その光合成速度は深夜の最高に達する時点で、およそ3mgCO_2/dm/hであった。葉齢との関係では前年度出葉の古い葉においてもほぼ同様の値が示され、一方で各品種間においてもそれほど大きな違いは見られず、旧バルブにおける落葉防止への取り組みの重要さが指摘される。
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