1990 Fiscal Year Annual Research Report
デンドロビウムの発育生理および品種生態に関する研究
Project/Area Number |
63560034
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
上里 健次 琉球大学, 農学部, 助教授 (10045122)
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Keywords | デンドロビウム / 発育生理 / 品種生態 / 栄養生長 / 根の発育 |
Research Abstract |
切花用デンドロビウムの発育生理,生態に関して,当初予定していた環境制御下における温度要因と発育に関する再度の計画は,収集した材料の萌芽が不揃いで不可となったので,予定を変更して今年度は根の発育と発根部の解剖学的調査を行った。デンドロビウムは着生植物であるため根は空中にさらされてよいことからその観察には都合がよく,あらかじめ杉材に着生させて栽培中のD.Tomieを対象に根端の活性の動きを追跡調査した。前年性バルブの伸長停止中の根の先端部は,地上部の芽の動きがあった後にのみ活性化し伸長を開始した。その際に先端部が障害を受けているものは,その近くで分岐してスタ-トすることとなった。地上部の芽の動きは,バルブの頂部に形成される再度の花芽,基部に萌芽する次世代の新芽のどちらでもよく,これら新芽のないものでは根端部の動きはなかった。当年性シュ-トにおける発根は,すでに茎長が10数cm伸長した後に新芽の茎頂部の支配下にあり,このことも含めて,発根および伸長停止中の根端の活性化に対しては,地上部の分裂活動の盛んな部位におけるたぶんにオ-キシンの生成量の増加がまず先にあり,それが発根部位および再伸長が可能な根端部に移動することが必須条件であるという植物ホルモンによる内因説が考えられる。これは他の植物の発根においても一般的な原理と思われるが,根が空中にあって健全な着生植物においてより確かめやすいといえ,そのホルモン分析による実証は今後の課題である。 発根部位の位置的関係については,バルブ基部の3節までの節部および節間部にほぼ均等に発根することが確認された。またバルブの基部横断面を時計の時刻盤に例えて調査すると,ほとんど下半分の部位に発根があり,この場合もバルブ基部内におけるオ-キシンの濃度勾配が,発根部位の決定に深く関与しているものと推察された。
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[Publications] 上里 健次: "デンドロビウムの落蕾現象と温度,湿度条件および花蕾のエチレン生成量" 園芸学会雑誌. 58,別2. 524-525 (1989)
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[Publications] 上里 健次: "デンドロビウムの発育と光合成および蒸散速度における品種間差" 園芸学会雑誌. 59,別2. 682-683 (1990)
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[Publications] 上里 健次: "デンドロビウムの発育生理および品種生態に関する研究" 琉球大学農学部学術報告. (1991)