1989 Fiscal Year Annual Research Report
植物病原細菌の感染部位におけるラジカルの役割とこれを利用した防除法の検討
Project/Area Number |
63560041
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
露無 慎二 静岡大学, 農学部, 助教授 (30090541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 寿 静岡大学, 薬学部, 助手 (90046300)
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Keywords | フリ-ラジカル / 電子スピン共鳴 / 植物病害防除 / ペクチンリア-ゼ / 過敏感反応 / 非病原性変異株 |
Research Abstract |
初年度、植物体を凍結乾燥し、室温で電子スピン共鳴法で測定することにより、1)褐変の進行とともにg=2,004付近に、幅8Gのシングレット吸収が増大すること、2)食塩を添加することにより、褐変が抑えられると同時にマンガンの錯体と考える規則正しい特徴あるスペクトルが出現すること、3)このマンガンの錯体によると考えられるスペクトルはお茶の製茶工程においても見られたが、上記シングレットタイプのラジカルは工程の進行とともに増大した。また、病原菌の種類によっては、このラジカル生成を利用して発病因子である植物組織崩壊酸素であるベクチンリア-ゼの生産を誘導することも判かった。これらの知見を基に最終年度は、特に植物病原菌接種による褐変過程をラジカル生成及び化学発光との同調性について詳細な研究を行うことにより、耕種的防除法の検討を行った。即ち、カンキツかいよう病菌Xanthomonas campestris pv.citriより、自殺ベクタ-pSUPl021を用いたランダムトランスポジションによる病原性欠損株を10株得て、植物の過敏感反応による褐変機構について、タバコ培養細胞を用いた野性型との比較試験を行った。野性型は顕著な増殖阻害及び褐変誘導を行うのに対して、1変異株がこの能力を完全に失っていた。そこで、この変異株と野性型について、フリ-ラジカル生成と密接な関連を示すことが知られている化学発光を経時的に調べたところ、明確な差が認められ、感染初期におけるラジカル生成が過敏感反応誘導に重大な意味をもつことが判明した。これより、植物体内のラジカル生成及びその抑制のバランスを混乱させる耕種的防除法及び細胞育種の有効性を示唆出来た。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 露無慎二: "軟腐性Erwinia属細菌の病原性とペクチン質分解酸素" 日本農芸化学会誌. 62. 1373-1376 (1988)
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[Publications] Yoshioka,Hitoshi: "Appearance of the ESR absorption of a manganese ion after immersing sliced apple in naCl solution." Aric.Biol.chem. 52. 2977-2979 (1988)
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[Publications] Tsuyumu,Shinji: "Production of antifungal substance by Pseudomonas solanacearum." Anna.Phytopathol.Soc.Japan. 55. 9-15 (1988)
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[Publications] Tsuyumu,Shinji: "Plate assay differentiation of different pectinases." Agric.Biol.chem. 53. 2509-2511 (1989)
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[Publications] Tsuyumu,Shinji: "Induction of pectin Iyase and a SOS function(UmuC protein)in various plans." Proc.7th.Internat.Conf.Plant Pathog.Bacteria,Budapest. 7. (1989)
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[Publications] Yoshioka,Hitoshi: "Radical formation during processing green tea." Agric.Biol.chem. 54. 203-204 (1990)
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[Publications] 古澤巌 監修: "植物病理学実験マニュアル" 養賢堂, 160 (1989)
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[Publications] 大内成志、豊田秀吉編: "植物病害と遺伝学光学" 朝日出版社, 224 (1989)