1988 Fiscal Year Annual Research Report
植物の感染および各種ストレスに対する応答シグナルとしての活性酸素生成の解析
Project/Area Number |
63560042
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
道家 紀志 名古屋大学, 農学部, 助教授 (80023472)
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Keywords | 植物の感染 / 植物のストレス / 活性酸素生成 / 応答シグナル / 情報伝達 / NADPH酸化酵素 |
Research Abstract |
病原菌の感染、それ由来のエリシターなどの生物的刺激、切断、高温、低温などの物理的刺激、およびデタージェント、重金属などの非生物的刺激を受けた植物組織は、それぞれの刺激の質と量に対応し、新たな遺伝子の活性化を伴う、特徴ある応答反応を示す。これらは植物の各種ストレスに対する重要な生体防御反応と考えられる。本研究は、それらの刺激と応答間の情報伝達系におけるストレスシグナルとして、植物細胞の原形質膜系にあるO_2^ー生成NADPH酸化酵素系の活性化が重要な機能を果していることを解析したものである。 1.病原糸状菌やウイルスの感染の生物的刺激による病害抵抗性反応の始動期に、原形質膜系に、あるNADPH依存のO_2^ー生成系が活性化され、それは周期性をもつ持続的反応の性格を示した。2.植物組織の切断直後、また数秒間の熱および氷冷ショック直後に、O_2^ー生成活性の一時的高揚が起った。3.シギトニンやヘプチルーβーチオグルコシドなどのデタージェント投与で、O_2^ー生成系活徐々に活性化され持続した。4.熱および氷冷刺激の量を同じにし、与える回数や間隔を違えて刺激を与えると、植物組織の応答は質的に異り、刺激の連続性を高めると病原菌の感染応答に類似した応答になった。5.感染やエリシター刺激は、活性酸素生成反応を活性化するとともに、植物細菌へのCa^<2+>の流入を促進し、カルモジュリンとcAMP依存のホスホリパーゼA_2の活性、Ca^<2+>依存リポキシゲナーゼの活性、および脂質の過酸化反応を順次活性化させた。これらは末端の応答のファイトアレキシン生成と連動し、O_2^ー生成キサンチン酸化反応系の外部投与で同様な現象が起った。 以上の結果は、植物の刺激と応答の関係において、原形質膜レベルの活性酸素生成反応が刺激に対する極初期の応答シグナルとしての性格をもち、その活性の量的調節が応答の質的変化に連動する可能性を示した。
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Research Products
(1 results)