1989 Fiscal Year Annual Research Report
土壌病菌Pythium属の偏在性の発現機構に関する研究
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63560048
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
一谷 多喜郎 大阪府立大学, 農学部, 助教授 (10081556)
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Keywords | 水田土壌 / 畑土壌 / 土壌病原菌 / 生存能 / 窒素源 / 有機酸 / 土壌抽出液 / 卵胞子 |
Research Abstract |
1.水田と畑の土壌モデルを戸外の各2個のコンクリ-ト枠(径85cm,深さ60cm,無底)内に作製し、両土壌に1988年12月水田と畑土壌生息性のPythium菌の卵胞子を埋没した。この場合、両菌卵胞子は異なる発芽率をもつことを考慮し、埋没直後には両菌がほぼ一定数検出されてくるようにした。この様にして、1か年間放置して両菌卵胞子の生存を調べたところ、水田土壌からは水田生息性のP.paddicumが6%、畑生息性のP.iwayamaiは全く検出されなかった。一方、畑土壌からはP.paddicum、P.iwayamai共に全く検出されなかった。以上の結果から、水田土壌におけるP.paddicumの優占的分布を説明することはできたが、P.iwayamaiの畑土壌中における分布を説明することはできなかった。今後は、畑土壌中における両菌の衰退状況を随伴菌の面から調べる必要がある。 2.前(昭和63)年度で報告してMES緩衡液を用い、畑および水田土壌生息性の両菌の菌糸生育に及ぼす各種窒素源と有機酸の影響を調べた。その結果、アンモニア態窒素、有機態窒素の影響は両菌間で差がなく、硝酸態窒素はP.iwayamaiに対してよりもP.paddicumに対して菌糸生育を促進した。亜硝酸態窒素、有機酸はP.paddicumよりもP.iwayamaiの菌糸生育を促進した。今後は、上記1.の生存実験に供している水田、畑土壌中に存在する窒素源、有機酸の分析を行い、本実験で得た結果とあわせ考察したい。 3.上述1.の水田と畑の土壌からオ-トクレ-ブにより土壌抽出液を作製し、これに炭素源、窒素源を加える場合と加えない場合について、水田と畑土壌生息性のP.paddicum、P.iwayamaiの菌糸生育に及ぼす影響を調べた。その結果、両菌間に菌糸生育の差が認められなかった。今後は、土壌抽出液の作製方法をさらに検討する必要があると考えられた。
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Research Products
(1 results)