1988 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子工学的手法によるBGMV変異株の作製とその複製
Project/Area Number |
63560049
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
池上 正人 東京農業大学, 総合研究所, 助教授 (00151275)
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Keywords | bean golden mosaic virus / geminivirus / 2本鎖DNA / クローニング / コナジラミ伝搬性ウイルス / 1本鎖DNAウイルス |
Research Abstract |
1本鎖(ss)DNAウイルスであるBGMVゲノムは2種類のDNA(1と2)からなる。我々はすでにBGMVssDNAの複製型2本鎖(ds)DNA1と2の全域をそれぞれ別々にPBR322のClaIおよびHinaIII部位にクローニングした。また、BGMVdsDNAの全塩基配列からdsDNA1には6個、dsDNA2には2個のオープンリーディングフレーム(ORF)が存在する。しかしながら、それぞれのORFの機能については全く知られていない。そこで今年度はそれぞれのORFの一部欠失変異体を作製し、その変異体の植物体内での複製の有無を調べることにより、各ORFの複製における重要性の度合を明らかにした。BGMV DNAの一部欠失変異体の作製を行うために、まずBGMVdsDNAの塩基配列から、BGMVdsDNAのORFを1個所切断する制限酵素を検索したところ、AflIIはBGMVdsDNA1のORFIRI、BglIIはBGMVdsDNA1のORFILIおよびdsDNA2のORF2L1、KpmIはBGMV DNAのORFIL2とIL3を切断することがわかった。したがって、一部欠失変異体の作製には、これらの制限酵素のいずれかで切断し、生じた付着末端をS1ヌクレアーゼで処理し、平滑末端ライゲーションを行って作製した。このようにして作製した一部欠失変異体をインゲンに接種した。葉内でのDNAの増殖の有無は、dCTP〔α-^<32>P〕で標識したクローン化BGMVdsDNAをプローブとして、接種葉から抽出した全核酸とのドットブロットハイブリダイゼーション法により調べた。その結果、BGMVdsDNAのORFILI、IL2、IL3、2L1はBGMVdsDNAの複製にとって極めて重要であることがわかった。しかしながら、ORFIR1の一部欠失変異体はその欠失にもかかわらず、複製可能なことがわかった。さらに、ORFIR1を約400塩基欠失しても複製可能であった。今後、ORFIR1に外来遺伝子を導入し、BGMVdsDNAのベクター化の研究を進めたい。
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[Publications] Ikegami,M Morinaga,T.;Miura,K.: Virus gene. 1. 193-203 (1988)
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[Publications] Ikegami,M.;Shimizu,S.: Journal of Phytopathology. 122. 108-112 (1988)
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[Publications] Yazaki,K.;Sano,N.;Ikegami,M.;Urushibara,T.: Microbiology and Immunology. 32. 321-326 (1988)
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[Publications] Morinaga,T.;Ikegami,M.;Arai,M.;Miura,K.: Journal of General Virology. 69. 897-902 (1988)
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[Publications] Ikegami,M.;Morinaga,T.;Miura,K.: Ann.Phytopath.Soc.Japan. 54. 233-237 (1988)
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[Publications] Morinaga,T.;Ikegami,M.;Miura,K.: Intervirology.
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[Publications] 池上正人: "最新植物バイオテクノロジー辞典" 朝倉書店, (1989)
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[Publications] 池上正人: "最新植物バイオテクノロジー要覧" R and Dプランニング, (1989)