1988 Fiscal Year Annual Research Report
家蚕中腸皮膜細胞の増殖・更新におけるポリアミンの消長に関する研究
Project/Area Number |
63560051
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
管家 英治 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (20007967)
|
Keywords | 家蚕 / 中腸 / ポリアミン / 細胞増殖 / 高速液体クロマトグラフィー |
Research Abstract |
ポリアミンは生物細胞に広く存在し、細胞増殖との関連も大であることから家蚕中腸皮膜細胞の増殖・更新の機構を明らかにする目的で、中腸皮膜細胞の分裂の行われる眠期を中心に高速液体クロマトグラフィー法によりポリアミン(スペルミン、スペルミジン、プトレシン、カダベリン)の検出を行なった。ポリアミン分画は中腸を10%トリクロール酢酸液で磨砕し、遠心後上清にエーテルを加えて攪拌後エーテル層を除き、ロータリーエバポレーターで濃縮乾固して得た。高速液体クロマトグラフィーによるポリアミンの検出は逆相系カラム(Shimpack CLC-ODS)を用いO-フタルアルデヒドにより50℃の下でポストラベルを行ない、螢光検出器(島津RF-535)により測定を行なった。なおEX=345nm、EM=455nmの波長を用いた(蒲生・藤田、1987)。 〔結果〕(1)ポリアミン量の測定はグラジェント法によるのが一般的であるがMobile phase、すなわち10mMの1-ヘキサンスルフォン酸ナトリウム含有0.1M過塩素酸ナトリウム液(A液)とA液1容+メタノール3容のB液との混合割合を変えて、1:1ではスペルミンとスペルミジン、95:5のMobile phaseではプトレシンとカダベリンを検出することができた。(2)中腸生重1mg当りのモル濃度で算出したポリアミン量は2nM以下であったがカダベリンはきわめて少なく0.1nM以下であった。量的にはスペルミジン プトレシン>スペルミン>カダベリンの順に差異が認められた。(3)中腸皮膜細胞の分裂期である4眠期にはプトレシン、スペルミジン、スペルミン共に増加し、脱皮後5齢中期にかけて減少する傾向を示した。(4)4眠期のポリアミン量の変動はスペルミン、スペルミジンともに昼間供試区は低く、夜間供試区が高い傾向を示し、明と暗が中腸皮膜細胞の分裂増殖に大きな影響を及ぼしていることが考えられ、特に夜(暗)が重要な役割を果していることが推察された。
|