1989 Fiscal Year Annual Research Report
蚕の硬化病菌のプロトプラスト融合とその遺伝学的解析
Project/Area Number |
63560055
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
清水 進 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (20187454)
|
Keywords | 硬化病菌 / プロトプラスト / 融合 / 遺伝学的解析 |
Research Abstract |
野外昆虫より分離した硬化病菌からプロトプラストの分離を試みた結果、Zymolyase、Driselase、あるいはNovozyme処理により大量のプロトプラストが分離された。 プロトプラスト利用による遺伝学的な解析を進めるためにはプロトプラストの保存に関する研究が不可欠であるが、糸状菌においてはそのような試みは少ない。そこで赤きょう病菌のプロトプラストを20%グリセリンおよび0.1%牛血清アルブミンで処理後、-80℃で保存した結果、100日後においてもその生存が確認され、28日後においてもプロトプラスト融合に供することが可能であった。したがって、一応プロトプラストの保存法は確立できたものと考えられる。 一方、硬化病菌の染色体数は不明のものが多いが、同糸状菌の育種を考える上にきわめて重要な事と思われる。そこで、プロトプラストより、温和な条件で染色体DNAを分離し、パルスフィ-ルド電気泳動(CHEF法)より、白きょう病菌(Beauveria bassiana)および黒きょう病菌(Metarhizium anisophilic)の染色体DNAの分離を試みた。0.5%寒天、40V、90分パルス、144時間の電気泳動において白きょう病菌では2Mb〜10Mb間に5本のバンドが、黒きょう病菌では6本のバンドが確認された。したがって、白きょう病菌では少なくとも5本、黒きょう病菌では6本以上の染色体が存在するものと推定され、両菌株のゲノム全長は30Mbp以上であると考えられる。
|