1990 Fiscal Year Annual Research Report
蚕の硬化病菌のプロトプラスト融合とその遺伝学的解析
Project/Area Number |
63560055
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
清水 進 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (20187454)
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Keywords | プロトプラスト / パルスフィルド電気泳動 / 硬化病菌 / プロトプラスト融合 / 核型 |
Research Abstract |
各種の野外昆虫より黒きょう病菌,緑きょう病菌,白きょう病菌,赤きょう病菌およびVerticillium lecaniiを分離し,プロトプラストの作出を試みたが,いずれの菌においてもNovozyme234およびZymolyase20Tが効果があり硬化病菌における細胞壁成分の共通性が示された。 Verticillium lecaniiの2系統間(オンシツコナジラミ病原株およびワタアブラムシ病原株)よりNTG処理によりそれぞれの栄養要求変異株を分離した。その変異株を用いて,2系統間の融合をPEG法にて試みた結果,融合率は0.046%で比較的高い頻度で細胞融合が認められた。融合株の性状は現在,検討中である。 硬化病菌の染色体数は不明である。そこで,赤きょう病菌および黒きょう病菌の数株を用い,プロトプラストより温和な条件で染色体DNAを分離し,パルスフィルド電気泳動(CHEF法)によりその核型を分析した。赤きょう病菌では4菌株とも6バンドが認められ,それらの泳動パタ-ンは互いに類似していた。以上のことより赤きょう病菌の染色体数は6本以上で,全ゲノムサイズは30Mbp以上であることが判明した。 黒きょう病菌についてはまず,染色体DNAの分離法を検討した。発芽分生子,blastosporeおよび未精製プロトプラストを電気泳動用試料とした場合,染色体DNAバンド数は少なかったが,精製プロトプラストを用いた場合には各菌株とも5〜7本のバンドに分離した。電気泳動パタ-ンは菌株間において多様であり,菌株毎に異なっていた。電気泳動より推定される染色体数はそれぞれ5〜7本であり,それらの全ゲノムサイズは29.5〜37.1Mbpであった。以上の結果は黒きょう病菌において核型の多型性が生じていることを強く示唆している。
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[Publications] S.Shimizu: "Cryopreservation of protoplasts of an entomogenous fungus,Paecilomyces fumosoroseus" Journal of Invertebrate Patholgy. 56. 283-285 (1990)
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[Publications] S.Shimizu: "Separation of chromosomal DNA molecules from Paecilomyces fumosoroseus by pulsed field electrophoresis" Journal of Invertebrate Pathology.