1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63560080
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高倍 鉄子 名古屋大学, 農学部, 講師 (60089852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤沢 堯 名古屋大学, 農学部, 教授 (20023400)
杉山 達夫 名古屋大学, 農学部, 教授 (50023453)
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Keywords | 浸透圧調節機構 / 塩ストレス / 大麦 / 塩性植物 / 耐塩性 / 藍藻 / ベタイン / ベタインアルデヒド脱水素酵素 |
Research Abstract |
植物細胞の浸透圧調節機構について、主に浸透圧調節物質ベタインの生合成と蓄積に関する研究を行った。研究成果は以下のとおりである。 (1)ホウレンソウ緑葉より、これまで精製のなされていなかったベタイン生合成酵素ベタインアルデヒド脱水素酵素を2000倍に精製し、その酵素学的性質を明からにし、抗体を調製した。 (2)イネ科植物におけるベタインの蓄積とベタインアルデヒド脱水素酵素に関する研究 大麦、小麦、トウモロコシ、イネ等の主要穀物は、浸透圧調節物質としてベタインを蓄積することが知られるが、ベタイン生合成酵素に関する知見はなかった。我々は、これら4種の作物の緑葉に本酵素系が存在することを明らかにした。さらに大麦は材料にして、塩(水分)ストレスを与えるとき、緑葉の浸透ポテンシャルの低下にともなって、ベタィンの蓄積とベタインアルデヒド脱水素酵素の誘導を明らかにした。 またベタインの蓄積は黄化葉と根の組織にも緑葉の約1/4量ベタインの蓄積があった。黄化葉にはベタインアルデヒド脱水素酵素も存在した。現在抗稿論文を作製中である。 (3)塩性アカザ科植物におけるベタインの蓄積とベタインアルデヒド脱水素酵素に関する研究 塩性アカザ科植物(ホソバノハマアカザ、イソホオキギ、ウラジロアカザ)についても(2)と同様の研究を行った。その結果イネ科よりも、1桁多くのベタインの蓄積とベタインアルデヒド脱水素酵素の存在を認めた。したがってベタイン生合成酵素の生合成の誘導、遺伝子発現の研究材料として適当であると判断した。 (4)耐塩性藍藻Aphanothece holophyticaにおけるベタインの蓄積とベタイン生合成系の検索に関する研究も成果を上げている。
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[Publications] A.Incharoensakdi;T.Takabe: Plant Cell Physiology. 29(6). 1073-1075 (1988)
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[Publications] T.Takabe;A.Incharoensakdi;K.Arakawa;S.Yokota: Plant Physiology. 88. 1120-1124 (1988)
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[Publications] K.Arakawa;M.Katayama;K.Katou;T.Takabe: Plant Physiology. (1989)
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[Publications] M.Ishitani;M.Katayama;K.Kojima;T.Takabe: Plant Physiology. (1989)