1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63560088
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
平野 茂博 鳥取大学, 農学部, 教授 (90032292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 陽太郎 鳥取大学, 農学部, 助教授 (80093590)
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Keywords | キチン / キトサン / キチナーゼ / 植物病原菌 / キトオリゴ糖 / 抗菌性 / カビ生育阻害 |
Research Abstract |
キチン・キトサンは植物病原菌の細胞壁を構築し、この加水分解酵素(キチナーゼ)が一般高等動物に含まれる。本研究は、植物病原菌に対するキトサンやキチナーゼの抗菌作用を調べ、病原菌の感染に対する植物細胞の新しい自己防護機作を分子レベルで解明するを目的とした。 1)キトサンおよび誘導体の調整:キトサンオリゴ糖混合物(d.s.2〜8)はキトサンのキトサナーゼ加水分解、低分子キトサン(分子量3,000)はキトサンの部分塩素分解、高分子キトサンはカニ殻から常法によりそれぞれ調製し本研究に用いた。 2)植物病原菌生育に対するキトサンおよび誘導体の影響:キトサンオリゴ糖(d.s.2〜8)、低分子キトサン、高分子キトサンなどを10、100、1,000ppmを添加したポテトデキストロース寒天培地に、メロンつる割病原菌、ナシ黒斑病菌、イネイモチ病原菌、ジャガイモ軟腐病菌など植物病原菌の菌糸を接種し、培養した。一定期間に生育したコロニーの直径を測定した。その結果、病原菌の菌糸伸長抑制度合は、高分子キトサン>定分子キトサン>キトサンオリゴ糖で重合度依存性を示した。これらキトサンで阻害されないカビも見られた。このカビ生育阻害は、病原菌細胞壁上の酸性基とキトサン鎖のアミノ基間の高分子電解質複合体凝集によると思われる。 3)植物病原菌生育に対するキチナーゼ/リゾチームの影響:病原菌の基本ポテトデキストロース寒天培地に上述した植物病原菌の菌糸を接種し、培地中に穴をあけ、その中に酵素またはキトサン試料(10mg/0.1ml)を加え、阻止円形成を観察した。その結果、これら酵素による生育阻害は低分子キトサンの阻害より低かった。(今後の計画)カルボキシメチルキチン、ペクチン酸、カラゲナン、カードランなど酸性と中性多糖について抗菌作用を調べる。
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Research Products
(15 results)
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[Publications] S.Hirano.: Agric.Biol.Chem.52. 2111-2112 (1988)
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[Publications] S.Hirano.: Polymer Science and Technology. 35. 45-60 (1988)
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[Publications] S.Hirano.: Methods Enzymol.161. 408-410 (1988)
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[Publications] S.Hirano.: Polym.Mater.Sci.Eng.59. 897-901 (1988)
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[Publications] F.Yamaoka.: Agric.Biol.Chem.52. 2113-2114 (1988)
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[Publications] 平野茂博: 四国工研会報. 39. 2-9 (1988)
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[Publications] 平野茂博: 化学. 43. 155-160 (1988)
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[Publications] 平野茂博: 農化. 62. 1234-1240 (1988)
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[Publications] 平野茂博: 高分子. 37. 608-611 (1988)
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[Publications] 平野茂博: 高分子学会予稿集. 59. 897-901 (1988)
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[Publications] 平野茂博: '88先端科学技術開発年鑑. 276-278 (1988)
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[Publications] 平野茂博: "最後のバイオマスキチン・キトサン" 技法堂, 21-50 (1988)
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[Publications] 平野茂博: "最後のバイオマスキチン・キトサン" 技法堂, 169-188 (1988)
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[Publications] 平野茂博: "現代ハイテク事典" 平凡社, 197 (1988)
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[Publications] 平野茂博: "新版高分子辞典" 朝倉書店, 94 (1988)