1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63560092
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
岩見 公和 京都府立大学, 農学部, 助教授 (00026569)
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Keywords | タウロコ-ル酸 / 実験的糖尿 / 胆汁酸吸収能 / 食餌性適応 / 日内変動 / 親和標識 |
Research Abstract |
近年、食餌タンパク質と脂質代謝との関係が注目を集めている。血中のコレステロ-ル高値がアテロ-ム性動脈硬化症誘発の危険因子となり、植物(とくに大豆由来)タンパク質摂取により軽減されることはよく知られている。コレステロ-ル異化の主要経路は胆汁酸への転換とその体外排泄である。本研究は胆汁酸再吸収に及ぼす摂取栄養素の影響を調べたもので、昨年度においてはカゼイン食と大豆タンパク質で〔^<14>C〕タウロコ-ル酸の腸内移送と粘膜吸収に著しい差異の生ずることを明らかにしたが、今年度においては高脂肪食連続投与あるいは途中からの食餌交換による胆汁酸吸収能の変化について検討を加えた。その結果、飼育期間(4週間)を通して、あるいは2週目に高脂肪食に切り替えても(又はその逆)胆汁酸吸収能には対照(高でんぷん、低脂肪)に比べ有意な増加の起こることが認められた。このとき基質(タウロコ-ル酸)に対する親和性にほとんど変化のないことから、吸収能の増大は輸送担体の量的変動、換言すれば食餌性適応、によるものと推察された。高脂肪(低糖質)食摂取により血中インシュリン濃度の食後変化のピ-クが低く抑えられることが報告されているので、次に実験的糖尿としたラットの胆汁酸吸収能を調べた。一般に糖やアミノ酸の吸収能は糖尿病ラットにおいて高まるとされているが、胆汁酸吸収能にそのような現象は観察されず、単位組織重量で表した場合むしろ減少する傾向が認められた。従って、胆汁酸輸送担体の食餌性適応における調節因子としてインシュリンはそれほど重要でない。一方、一日二回(午前、午後の2時間ずつ)高タンパク質と無タンパク食の間歇投与の条件で飼育したラットの胆汁酸吸収能の日内変動をアミノ酸吸収能のそれと比較した。胆汁酸吸収能は高タンパク質、無タンパク食摂取後のいずれの場合も有意な食後変化を示さず、アミノ酸吸収系のリズムとは異なっていた。タウロコ-ル酸類似の親和標識化合物(7,7-azo-3a,12a-dihydroxy-5β-cholan-24-olyl)-2-aminometanesulfonic acidを調整し、回腸刷子縁膜に作用させたところ、40K,57K,81K,99K,140Kのタンパク質が放射標識された。これら成分の量比はラットの食餌前歴(大豆油か紫蘇油か)の違いによって若干の変化を示した。なお輸送担体を封入したリボソ-ムを用いた再構成実験には成功しなかった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Kimikazu IWAMI: "Comparison of intestinal taurocholate uptake in rats given soyprotein- or casein-based diet." Nutriton Research. 10. (1990)
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[Publications] Masaru KITAGAWA: "Na^+-dependent transport system for taurocholate in rat smallintestine;its localization in the terminal ileum and variation by fasting." Agric.Biol.Chem.,. 54(4). (1990)
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[Publications] Masaru KITAGAWA: "A difference between intestinal taurocholate and L-leucine uptake capacities in their postprandial changes in rats." Agric.Biol.Chem.,. 54(5). (1990)
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[Publications] Kimikazu IWAMI: "Effects of dietary proteins and/or their digestive products on intestinal taurocholate absorption." J.Nutr.Sci.Vitaminol.(1990)
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[Publications] Kimikazu IWAMI: "Variation of ileal taurocholate treansport capacity in rats fedon high-fat and in alloxane-diabetic rats." Nutrition Research.