1989 Fiscal Year Annual Research Report
微生物並びに酵素法による含セレンペプチドの合成とその生理作用
Project/Area Number |
63560104
|
Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
田中 英彦 岡山大学, 農学部, 教授 (90065912)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江崎 信芳 京都大学, 化学研究所, 助教授 (50135597)
稲垣 賢二 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 助手 (80184711)
|
Keywords | セレノメタロチオネイン / セレン生化学 / ナンセンスコドンのサプレッション / 重金属解毒作用 / 遺伝子合成 |
Research Abstract |
1)昨年度に引き続き、合成したCu-SeMTの構造解析を行った。Cu-SeMTのESRパラメ-タ-はN.CrassaのCu-MTの酸化型のパラメ-タ-に類似していた。銅-硫黄クラス-タ-中の硫黄をセレンに置換してもパラメ-タ-には顕著な変化は観察されなかった。この事実と昨年度の結果から、Cu-SeMTの結合銅イオンのまわりの配位構造はCuMTのそれとよく似ていることが推察された。両複合体はシステインにより完全に還元を受けるが、アスコルビン酸に対する挙動は異なっていた。これはCuーMTよりもCu-SeMTの方が低い酸化還元能を持つことに起因するためと思われる。そこで、その構造を更に詳細に検討するためにEXAFS分析を試みた。銅EXAFSで両複合体を解析した結果、エッシジャンプ付近のX線吸収スペクトルは非常に類似することが認められた。硫化第二銅等の標準試料のデ-タを用いて結合距離を求めた結果、Cu-Se結合に関しては3種類に区別することができた。距離の短いもの、中間のもの、長いものについて、各々の結合数は3、4、2で、又存在比は3:1:3であった。ほぼ同じ結果がセレンEXAFSからも得られ、これらの結果に基ずいて本構造を推定した。 2)遺伝子レベルからSeMTを合成するために、昨年度合成したMT遺伝子の5'末端に最も近い1個のCys残基をコ-ドするTGTをSeCys残基をコ-ドするナンセンスコドンTGAに改変し、pUC18のlacZ'遺伝子中に挿入し、大腸菌中での発現を検討した。その結果、その発現は嫌気条件下でのみ起こることを見いだした。 3)グルタチオンのセレンアナログの4種のジアステレオマ-を合成し、その性質を解析した。得られた生成物はいずれも酸化型ジセレニドであり、260-340nmにジセレニドに由来する幅広い吸収を示した。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 及川典夫: "セレン置換メタロチオネインの合成とその性質" 微量栄養素研究. 5. 75-79 (1988)
-
[Publications] H.Tanaka(田中英彦): "Synthesis of fiologically active selenium-containing amino acids and peptides" Phosphorus and Sulfur. 38. 19-24 (1988)
-
[Publications] M.Sugimoto(杉本学): "Chemical synthesis and expression of copper metallothionein gene of Neurospora crassa" Journal of Biochemistry. 104. 924-926 (1988)
-
[Publications] M.Sugimoto(杉本学): "A simple and efficient method for the oligonuclestide-directed mutagenesis using plasmid DNA template and phosphorothioate-modified nucleotide" Analytical Biochumistry. 179. 309-311 (1989)
-
[Publications] T.Oikawa(及川典夫): "Synthesis of selenium-containing metallsthionein and its complex with copper ions"