1988 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜作用性生理活性物質の検索(透過性変化による無効阻害剤の有効化への試み)
Project/Area Number |
63560112
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
谷口 誠 大阪市立大学, 理学部助教授 (00047309)
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Keywords | 細胞膜作用性物質 / 透過性変化 / polygodial / 酵母細胞膜 / membrane barrier / アルギニン透過酵素欠損酵母 / ウラシル透過酵素欠損酵母 / chrysodin |
Research Abstract |
polygodialやamphotericin Bのような真菌細胞膜障害剤で軽度に処理された酵母においては、種々の抗生物質や阻害剤に対する感受性が高いと報告されている。本研究では酵母細胞膜の透過障壁(membrane barrier)に特異的に作用をおよぼし、併用した非透過性無効阻害剤の細胞膜透過を可能にし有効化させうる物質の検索を試みた。 1.まず、検索研究に用いる試験酵母の調製を行った。すなわち、酵母Saccharomyces cerevisiae IFO 0203をNTGで突然変異処理し、(1)アルギニン透過酵素欠損株(アルギニンアナログcanavanineに対する非感受性株arg-p^3)および(2)ウラシル透過酵素欠損株(ウラシルアナログ5-fluorouracilに対する非感受性株ura-p17)を調製した。また、(3)酵母candida albicans IFO 1061はウラシル透過酵素欠損株であることを見い出した。2.ついで、上記試験酵母(1)〜(3)に対し、canavanineあるいは5-fluorouracilとの共存下ではじめて抗酵母作用を示す物質を、種々微生物の培養液を対象に検索した。その結果、土壌から分離した約2000種類の微生物のうち、放線菌1株と糸状菌2株はそのような物質の生産菌として有望であるとみなされた。3.それら有望微生物は形態学的特徴などから、放線菌はStreptomyces層菌、糸状菌の1株はPenicillium層菌であることがわかった。残り1株の菌名は今のところ不明である。4.その未同定糸状菌の培養液から細胞膜作用性物質(目的物質)を結晶状に単離した。この物質はユニークな構造をもつchrysodinと同定された。streptomyces sp.からも目的物質が得られ、tetramycin Aを主成分とするポリエンマクロライドの混合物であることがわかった。 今後も引き続き細胞膜作用性物質を広く検索するとともに、得られたchrysodinなどの作用の詳細について検討を加える予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Isao Kubo: J.Nat.Prod.51. 22-29 (1988)
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[Publications] Makoto Taniguchi: Agric.Biol.Chem.52. 1409-1414 (1988)
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[Publications] Makoto Taniguchi: Agric.Biol.Chem.52. 1881-1883 (1988)