1989 Fiscal Year Annual Research Report
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63560116
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田原 哲士 北海道大学, 農学部, 助教授 (50001475)
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Keywords | ファイトアレキシン / カビによる代謝 / 抗菌性化合物 / プレニル化イソフラボン / イソフラボノイド / マメ科植物 / Botrytis cinerea / エポキシ中間体 |
Research Abstract |
ファイトアレキシン類のモデル化合物としてプレニル化イソフラボン類及び関連化合物を選び、それらのBotrytis cinerea及びAspergillus flauusによる代謝の基質特異性ならびに代謝産物の構造解析を行なった。 (1)前年中に単離、あるいは化学誘導した基質:ウオトリマメのpiscidone(6'-プレニルイソフラボン)、イエロウル-ピンのtopazolin(プレニル化フラボン)Lonchocarpus guatamalensisのlupinifolinol(8-プレニルフラバノノ-ル)luteone及び2,3-dehydrokievitoneの7-0-メチル化物即ち、7-0-methy1-luteone、7-0-methy1-2,3-dehydrokievitoneの上記二菌による代謝実験を行ない、代謝産物の構造解析、代謝中間体の捕捉を行なった。 (2)PiscidoneはB.cinereaによりジヒドロピラン型の代謝産物を与え、topazolinはA.Havusにより主としてhydrateへ、B.cinereaによっては、ジヒドロピラン型、ジヒドロフラン型、側鎖部グリコ-ルへ代謝された。lupinifolinolは両菌によっては全く代謝されなかった。 (3)7-0-Methy1-luteoneのB.cinereaによる主代謝産物は5-OHとジヒドロピラン環を形成したもので、新たに生じた不斉中心のため右旋性を示した。 (4)7-0-Methy1-2,3-dehydrokievitoneはA.flavusによっては、全く代謝されなかったが、B.cimereaにより側鎖エポキシドを経由してグリコ-ルに代謝された。このエポキシドは、プレニル側鎖から環状エ-テル誘導体への代謝中間体で、従来存在が予想されていたが、今回はじめて単離し、その存在を確認した。不斉中心の立体化学も解析することができ、プレニル側鎖を攻撃点とするプレニル化イソフラボノイドのカビによる解毒代謝様式が明らかにされた。 (5)ホワイトル-ピンの複合イソフラボノイドを精査し、新たに20余種の新規化合物を単離、構造解析した。これらの構造をもとに、ホワイトル-ピンのイソフラボノイドのバイオジェネシスを提案することができた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] S.Tahara,F.Hanawa,Y.Harada and J.Mizutani: "A Fungitoxin Inducibly Produced by Dandelion Leaves Treated with Cupric Chloride" Agric.Biol.Chem.,. 52. 2947-2948 (1988)
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[Publications] S.Tahara,S.Orihara,J.L.Ingham and J.Mizutani: "Seventeen Isoflavonoids from Lupinus albus Roots" Phytochemistry,. 28. 901-911 (1989)
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[Publications] 田原哲士,J.L.Ingham,水谷純也: "7-0-Methyl-luteoneのBotrytis cinereaによる代謝産物" 日本農芸化学会誌. 63. 999-1007 (1989)
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[Publications] S.Tahara,J.L.Ingham and J.Mizutani: "Indentification of an Epoxy-intermediate Resulting from the Fungal Metabolism of a Prenylated Isoflavone" Phytochemistry. 28. 2079-2084 (1989)
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[Publications] S.Tahara,S.Shibaki,J.L.Ingham and J.Mizutani: "Further Isoflavonoids from White Lupin Roots" Z.Naturforsch.,. 45C. 82-88 (1990)
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[Publications] S.Tahara,E.Narita J.Mizutani and J.L.Ingham: "New Rotenoids from the Root Bark of Jamaican Dogwood(Piscidia erythrina L.)" Z.Naturforsch.,No.3-4. 45C. (1990)
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[Publications] 田原哲士,吉原照彦,朝日田康司ら編(分担執筆): "生物生産効率の向上に関する研究" 北海道大学農学部, 27 (1988)
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[Publications] 田原哲士(分担執筆)香山彊編: "森林資源の効果的育成と有効利用に関する総合的研究" 北海道大学農学部, 9 (1989)