1988 Fiscal Year Annual Research Report
メイラード反応におけるタンパク質の架橋構造及び蛍光物質の解明とその免疫学的定量
Project/Area Number |
63560118
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
早瀬 文孝 東京大学, 農学部, 助手 (80105246)
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Keywords | メイラード反応 / グリケーション / タンパク質の重合 / 3-デオキシグルコソン / 蛍光生成物 / ピロールアルデヒド |
Research Abstract |
1.タンパク質の糖による重合と架橋構造の解明:タンパク質としてリゾチーム、オボアルブミン、血清アルブミンを用い、還元糖と生理条件下(37℃、pH7.4)で反応させたところ、すべての反応系において、リジン、アルギニン残基の損傷とタンパク質の重合が認められた。この反応系で生成する主要なカルボニル化合物は3-デオキシグルコソン(3DG)であった。3DGはアルギニン、リジン残基との反応性およびタンパク質の重合活性も高いため、クロスリンカーの主要な中間体であると推察した。 2.蛍光物質の解明:モデル系としてブチルアミンとグルコースを生理条件下(37℃、pH7.4)で反応させ、2種の主要蛍光生成物(FA、FB)を逆相系HPLC等で単離、精製した。これらは分子量398で240、278、370nmにUV吸収を、励起波長379nm、蛍光波長462nmを有する類似の蛍光物質であった。そこでFAを^<13>CNMR、HNMR等から解析し、分子式はC_<20>H_<30>O_6N_2でヘテロ還化合物であることが推定された。FAはグルコース2分子とブチルアミン2分子よりなり、タンパク質のグリケーションによる重合において、リジン残基間に生成する架橋構造の可能性を示唆した。 3.食品系におけるメイラード反応生成物の免疫学的検出、定量:メイラード反応の主要生成物の一つであるピロールアルデヒド(PA)は3DGとリジンのε-アミノ基の反応で生成し、架橋にも関与していると推定される。そこでPAをグルコースと6-アミノカプロン酸から合成し、これをハプテンとし、カルボジイミド法によりポリリジンとカップリングさせた。これをウサギを用い、免疫を行って抗体を得た。PAに対する有用な抗血清は16〜18週で得られた。この抗体はPAのほかにN-置換PA化合物に交差反応性を示したが、フラン類には全く示さなかった。BSAとグルコースをpH7.4、36日間インキュベートした褐変BSA中のPAの生成量は1日後の2.5pmol/mgから36日後では30pmol/mgに増加した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] D.B.Shin: Agric.Biol.Chem.52. 1451-1458 (1988)
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[Publications] F.Hayase: J.Biol.Chem.(1989)
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[Publications] F.Hayase: Agric.Biol.Chem.