1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63560134
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
青木 孝良 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (70034460)
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Keywords | カゼイン / カゼインミセル / コロイド状リン酸カルシウム / 加熱 / 高速液体ゲルクロマトグラフィー |
Research Abstract |
本年度は、コロイド状リン酸カルシウム(CCP)架橋に及ぼす加熱の影響を調べた。そのために、超遠心分離カゼインミセルを牛乳平衡透析液中に分散させ、カゼインミセル分散液(CMD)および濃縮CMDを調製した。 CMDおよび濃縮CMDを60〜90℃で10分間あるいは超高温加熱(135〜140℃、15〜75秒間)すると、超遠心上澄液中のカルシウムおよび無機リン量が減少したことから、加熱によりCCP含量が増大することが確認された。 カゼインミセルを6M尿素と10mM2-メルカプトエタノールで解離し、高速液体ゲルクロマトグラフィー(GPC)を行うと、CCP架橋カゼイン会合体画分とカゼイン単量体画分とに分離することができる。しかし、加熱処理したカゼインミセルでは、CCP架橋カゼイン会合体画分に加熱重合したカゼインが含まれてくる可能性が考えられる。そこで、加熱処理カゼインミセルを6M尿素処理後さらにEDTA処理してGPCを行ったところ、高温加熱試料には、熱重合カゼインの存在が認められた。熱重合カゼイン量を補正して求めたCCP架橋カゼイン会合体量は、60〜90℃の加熱ではほとんど変化したかった。しかし、超高温加熱では、CMDの場合で54.3%から48.5%へ、濃縮CMDの場合で55.1%から46.1%へ減少した。 CCP架橋はカゼインのリン酸基を介して形成されるので、超高温加熱によるCCP架橋カゼイン会合体量減少の一因として、加熱によるカゼインからのリン酸の遊離が考えられる。そこで、超高温加熱CMDからカゼインを分離し、そのリン含量を測定したところ、リン含量の減少はほとんど認められなかった。 以上の結果から、超高温加熱によってCCP含量は増大するが、CCPの架橋形成能は弱くなり、カゼインミセル中のCCP架橋の切断が起きるものと結論した。
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