1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63560134
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
青木 孝良 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (70034460)
|
Keywords | カゼイン / カゼインミセル / β-カゼイン / 高速液体クロマトグラフィ / 冷却 |
Research Abstract |
牛乳を冷却するとカゼインミセルからβ-カゼインを主成分とする可溶性カゼインが遊離する。この原因として、温度依存性の解離を示すβ-カゼインがミセルから解離するために起きると考えられているが、ミセル構造とも密接に関係しており、その遊離機構はまだ解明されていない。そこで本年度は、冷却によるミセルからの可溶性カゼインの遊離とコロイド状リン酸カルシウム(CCP)架橋との関係を調べた。カゼインミセル分散液(CMD)にCaとリン酸を添加し、CCP架橋カゼイン会合体含量を49.3%から68.3%にまで増加させたミセルを調製した。このCMDを冷却したとき遊離する可溶性カゼイン量は、CCP含量の増大とともに減少した。冷却により遊離する可溶性カゼインの成分組成を高速液体イオン交換クロマトグラフィ-で調べ、冷却により遊離するβ-カゼイン量を求めた。また、ミセル中のCCP架橋カゼイン会合体含量とカゼイン成分組成とからCCP架橋β-カゼイン量を求めた。冷却により遊離するβ-カゼインはCCPにより架橋されていないものと考えられるので、ミセル中のβ-カゼインを次の3タイプ、(1)CCPで架橋されたβ-カゼイン、(2)冷却で遊離するβ-カゼイン、(3)CCPで架橋されていなくて冷却により遊離しないβ-カゼイン、に分けた。ミセル中のCCP含量を増大すると、タイプ1のβ-カゼインは全β-カゼインの46.2%から69.9%にまで増加し、タイプ2のβ-カゼインは全β-カゼインの31.8%から2.1%にまで減少した。一方、このミセル中のタイプ3のβ-カゼインは全β-カゼインの22.0%から28.0%に増加した。これらの結果から、CCP架橋が増加すると冷却により遊離するβ-カゼインが減少するのは、架橋されるβ-カゼインが増加するだけでなく、β-カゼインと他のカゼイン成分との相互作用が強くなるためと考えられた。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Takayoshi Aoki,Taketoshi Umeda and Yoshitaka Kako: "Cleavege of the linkage between colloidal calcium phosphate and casein on heating milk at high temperature." Journal of Dairy Research.
-
[Publications] Takayoshi Aoki,Nagisa Yamada and Yoshitaka Kako: "Relation between colloidal calcium phosphate cross-linkage and releaseof β-casein from bovine casein micelleson cooling." Agric.Biol.Chem.