1988 Fiscal Year Annual Research Report
産業調整下における北海道林業の動向と林政の新たなあり方に関する研究
Project/Area Number |
63560137
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石井 寛 北海道大学, 農学部, 助教授 (10002057)
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Keywords | 産業調整政策 / 北海道経済 / 住宅産業 / 住宅メーカー / リゾート開発林地移動 |
Research Abstract |
今年度は北海道にかかわる各種の産業調整政策の実施状況、住宅産業の動向、リゾート観発にともなう林地移動の実態などについて調査をおこなった。その調査結果の概要は次のとおりである。 1.国鉄の分割民営化、鉄鋼業の合理化、稲作減反政策の強化と牛肉・オレンジ問題の結着などにみるように、北海道経済の構造転換は確実に進んでいる。しかし内需拡大策の実施によって北海道経済が「活況」を呈するなど複雑な面も含んでいる。 2.北海道の住宅産業は70年代初頭以降、大きく変化し、それは林業、林産業のあり方に対しても影響を与えはじめている。より具体的には、(1)札幌冬季オリンピック、73年の第1次石油危機以降、北海道の住宅の建て方は大きく変化し、(2)その変化の基軸に位置するのは北海道の気象条件に適合した寒地住宅の建設をめぐるものである。(3)この間に断熱の仕方などについて混乱がみられたが、各種建築資財の開発を基礎として、在来木造住宅において高気密、高機密が工法の上でも実現している。(4)住宅メーカーを中心とする住宅生産の構造が80年代前半までに作りだされている。 3.内需拡大策の実施ともかかわって、観光開発、リゾート開発計画が目白押し的に樹立されるとともに、中央資本が主導する計画では開発が実施されはじめている。林地移動の状況をみると、開発が行なわれている地域では移動がみられ、林地価格の上昇が生じているが、全道的な拡がりをもったものとしては林地移動は生じていない。 次年度においては引き続き、最新の統計を使って北海道経済の動向について分析するとともに、国有林合理化の実態、森林組合の経営動向について調査をおこなうとともに、地域発展計画における林政の役割について明らかにする。
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