1989 Fiscal Year Annual Research Report
産業調整下における北海道林業の動向と林政の新たなあり方に関する研究
Project/Area Number |
63560137
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石井 寛 北海道大学, 農学部, 助教授 (10002057)
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Keywords | 産業調整 / 木材不況 / 林政 |
Research Abstract |
まず第1に日本林政の現状について評価をおこない、わが国林政が転換期にあることを明らかにした。それは経済社会の発展の結果として、これまでのような木材生産を基軸する林政のあり方が転換を余儀なくされるとともに、日本林政の基軸に位置していた国有林経営の縮小と解体が進んでいることに端的にあらわれている。しかし他方で地球環境問題の生起にともない、森林・林政にたいし新たな課題が付与されてきているのである。 ところで1985年9月から急激に進行した円高と86年4月の国際協調のための経済構造調整研究会のレポ-ト契機とする産業調整政策の実施によって、北海道林業に様々な動向かみられることは前年度に指摘したが、今年度においては85年以降、急激に外材の輸入量が増加し、木材の自給率がふたたび減少していることを明らかにした。そして重要なことは針葉樹用材について、外材は補完材としての位置を脱し、すでに価格を規定するに至っていることである。第2に木材不況の進展は国有林や道有林の経営に影響をあたえているが、民有林の森林管理の粗放化をもたらしていることに留意すべきである。その端的なあらわれは一般民有林の伐採跡地が増加傾向にあることに示される。 今後の日本林政のあり方を考える際に、外国の林政学研究からも学ばなければならないが、今回はアメリカのM.クロ-リンき研究から多目的森林利用の考えについて、翻訳し紹介した。
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