1988 Fiscal Year Annual Research Report
中小建設業者の共同化と地域資源立地型住生活に関する研究
Project/Area Number |
63560139
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
菊間 満 山形大学, 農学部, 助教授 (40143086)
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Keywords | 全国的住宅市場 / 地域住宅市場 / 住生活の地域性 / 在来工法技術 / 大工・工務店 / 資源立地型住生活 / 共同組合 |
Research Abstract |
1.パソコンを用い、大工・工務店の現況について事業所統計を中心に分析し、東北地方、特に山形県が大工等建設労働者の供給地であることを確認した。また、全建総連において全国的動向の調査を行った。 2.1988年度中に主に秋田県内(能代市)、山形県内(山形市、鶴岡市、米沢市、温海市)、京都県内(綾部市)などで行った実態調査によれば、国産材中心の資源立地型の地域では施主の強い国産材指向を背景に、大工・工務店の独立世が相体的に強く、大手住宅メーカーへの従属度は弱い(鶴岡市、綾部市などの地域住宅市場の展開)。一方、外材中心の、非資源立地型の地域では、大工・工務店の大手住宅メーカー(全国的住宅市場)と地域ホームビルダーの展開の中で、手間受け・下請け化が展開し、大工・工務店の実質的な建設労働者化が進行しつつあり、在来工法の技術的基盤が弱体化しつつある(山形市、米沢市)。 3.大工・工務店の共同化については、資源立地型の地域で取り組みが相対的に強く(能代市、綾部市)、下請け型の非資源立地型の地域ほど取り組みが弱いことが明らかになった。(山形県米沢市など)。なお、米沢市などでは、大工・工務店の弱体化から製材向上が製品需要確保のため、自ら建設業を兼業する事例が多数見られた。こうした事実は、近年進んでいる製材向上の建築部門への進出が、在来工法の担い手である大工・工務店の弱体化にも起因していることを示している点で極めて重要である。 4.内需拡大政策に伴う建設労働者不足により、大手メーカーはおよそ昨年から、建設労働者に対する急速な取り組みを開始している。一方、大工・工務店では、後継者不足に基づく職業訓練校の廃止や縮小が進み、地域資源立地型住生活の担い手である在来工法技術教育の形骸化、空洞化が著しく進んでいる(温海町、米沢市)。
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Research Products
(1 results)