1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63560145
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梶 幹男 東京大学, 農学部, 助教授 (00152645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 達弘 宇都宮大学, 農学部, 講師 (10176844)
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Keywords | イヌブナ果柄痕 / 豊作年 / 実生密度 / 実生枯死要因 |
Research Abstract |
1.イヌブナ枝の果柄痕から堅果豊作年の推定 堅果生産可能なイヌブナ20株、27本の樹冠部から長さ1.3mの枝を採取し、枝上に残る果柄痕の有無を生長年次別にル-ペを用いて観察した。その結果、1976、'82、'84、'88年の各枝上に高い頻度で果柄痕がみられた。これらのうち、'82年および'88年の枝上には65%以上の高頻度で果柄痕が認められた。'84年から実施している堅果落下量の調査結果と比較したところ、果柄痕の出現頻度と実際の堅果落下量との間に高い相関があることが明かになった。'82年は'88年に匹敵するほどの豊作年であったと推定された。また、'76年は'84年と同程度の作柄であったと推定された。果柄痕は最大'70年まで追跡可能であった。年次を遡るにつれて、観察可能な枝数は減少する傾向にあったが、過去10年間については60%の枝で追跡可能であることが明かになった。以上の諸点から、過去10年間については、枝上の果柄痕の有無から豊作年の推定が可能であることが分かった。 2.イヌブナ実生の生残と枯死要因 '89年に引き続き、4本のベルト(2x30m)内のイヌブナ実生の消長について調査を実施した。その結果、'90年10月下旬における4本の各ベルト内の生残実生密度は1.0〜1.3本/m^2であった。また、4本のベルト全体の密度は1.1/m^2で、実生発生当年にあたる'89年5月初旬の6.1本/m^2の約1/6に減少したことになるが、枯死率は'89年に比べて低い値で推移した。以上の点から、雨氷害によって林冠が疎開し、明るくなった林床(相対照度20%前後)では、イヌブナ実生はかなりの期間生存可能であることが明かになった。また、実生枯死要因の一つに、ブナノアオシャチホコおよびシャクガ類の幼虫による食害が、重要であることが確認された。
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Research Products
(2 results)