1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63560150
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
鈴木 雅一 京都大学, 農学部, 助手 (10144346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福嶌 義宏 京都大学, 農学部, 助教授 (00026402)
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Keywords | 蒸散量 / 森林水文学 / ヒ-トパルス法 / ペンマン・モンティ-ス式 / 水収支 / 森林微気象 |
Research Abstract |
森林における水循環のなかで、樹木をとうした蒸散量は重要な要素だが、水文学の領域では蒸発と蒸散をまとめて、蒸発散として扱われることが多かった。しかし地球規模の環境問題から単木単位の微環境にあたえる樹木の影響の評価まで、環境と植物の相互作用という見地から、森林の蒸散量を明らかにする必要性が増大している。このため、(1)これまで直接的に測定することが困難であった森林の蒸散量を精度良く測定できる測定法の開発、(2)蒸散量の季節変化がとらえられる長期間にわたる連続観測の測定例の蓄積、(3)水収支法など従来の観測結果との対比をおこなった。具体的には、 1.現地の森林の自然環境下で、林木の蒸散量を長期間測定する方法としてヒ-トパルス法が有効だが、ヒ-トパルス法は従来、蒸散量の相対的な変化を測定する手法で、実蒸散量の絶対値を与えるものではないという評価がある。このために、ヒ-トパルス法による測定から実蒸散量を求める方法を開発した。(吸水量の同時測定と樹幹内のヒ-トパルス移流拡散の数値解析) 2.アカマツ、ヒノキ混交林内でアカマツ、ヒノキ、林内に自生した落葉樹のコシアブラ各1本について、ヒ-トパルス法を用いた2年間にわたる連続観測を行った。蒸散量季節変化、日変化の把握がなされた。 3.ヒ-トパルス法による長期観測結果を、Penman-Monteith法による蒸発散量推定値と比較した。Penman-Monteith法による蒸発散量推定値は同じ流域の森林上の気象資料を用いて算出し、流域水収支とも比較検討した。つまり、一つの小流域において、ヒ-トパルス法、Penman-Monteith法、流域水収支法による蒸散推定がなされたことになる。この結果、森林の蒸散の特性について新たな情報が集積した。 このうち1.、3.の主要部分が本年度の成果である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 小南裕志,鈴木雅一: "ヒノキの樹液流速度と吸水量の関係" 京都大学農学部演習林報告. 60. 190-197 (1988)
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[Publications] Ranpisela,D.A.,Suzuki,M.,Fukushima,Y.: "Application of the Penman-Monteith model to the estimation of the evapotranspiration rate of a forested watershed." Journal of the Japanese Forestry Society(日本林学会誌). 72. 1-10 (1990)