1988 Fiscal Year Annual Research Report
応力場コントロールによるくさび形刃物を用いた木材の割裂型切断
Project/Area Number |
63560158
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
太田 正光 東京大学, 農学部, 助教授 (20126006)
|
Keywords | くさび型刃物 / 割裂 / 繊維走向 / 直交異方性 / 拘束応力 / 応力場 / 割れ |
Research Abstract |
スプルース材を供試材として、寸法2×4×10cmの板目板を試験体とした。くさびの進入方向と繊維走向のなす角は10°と30°で、くさびの刃物角は20°のものを用いた。本研究の主眼はくさび先端の応力場を外力によってコントロールすることにより、繊維方向の割裂ではなく刃物方向の切断を生じさせることの可能性を探ることにあるので、試験体に副え木をあて、側方からの拘束応力の方向と圧力をそれぞれ数段階変えた実験を行なった。副え木の形状は三角柱で鋭角部5°から35°まで7段階で、繊維走向に対して50°から120°までの範囲で側方拘束力の方向を変化させたが、切断の状態に与える影響はあまり大きくなかった。拘束力は油圧ジャッキで、圧力はゲージを見ながらコントロールして行なっているが、小さい拘束力では繊維に沿って生ずる割裂を防ぐことは出来ず、塑性変形が生ずる範囲の圧力をかける必要があった。実験的には刃物を圧入する際の速度が重要な影響をおよぼすことが判明した。低速(50mm/min)では割れが生じないような拘束力下では、塑性変形やクリープが大きく、刃物と荷重部との間で横倒れ座屈が生じ、切断面も直線にはならない。しかし、圧入速度が大きいと(500mm/min)、塑性変形の問題点は残るものの切断面はほぼ直線となり、割裂型切断に可能性のあることが確かめられた。今年度は基礎的実験のほかに、試験体内部の応力解析を有限要素法をもちいて行なった。弾性の範囲の解析でもいくつかの示唆は得られたが、3mm厚の刃物が圧入されるという条件は厳しいので、次年度は塑性変形の応力解析が可能な有限要素法を開発して行くなう予定である。また、今年度の実験から拘束力は側方部全面から圧縮していたのでは材料に与えるダメージが大きいことが分かったので、次年度は刃物の先端部分に集中的な応力を作用させるように、加力方法を工夫する予定でいる。
|