1988 Fiscal Year Annual Research Report
富栄養化にかかわる急速な水質浄化が水生微生物群集におよぼす影響
Project/Area Number |
63560180
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
関 文威 筑波大学, 生物科学系, 助教授 (80013572)
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Keywords | 富栄養化 / 湖沼生態系 / 栄養塩除去システム / 貧栄養化 / 植物プランクトン / 細菌 / 生長速度 / 物質環境制御装置 |
Research Abstract |
富栄養化による湖沼生態系の破壊はよく知られているが、いったん富栄養化した生態系が栄養塩除去システムの稼働により急速な貧栄養化のストレスを受けた場合の生態系が受ける影響は殆ど知られていない。本研究において、経済的にも栄養塩除去の可能なシステムを目指して試験研究「バイオフィルターシステム実証試験が行われた洞峰沼において、沼水中における急速な栄養塩濃度の低下が其処に生息している単細胞藻類と細菌類に及ぼす影響を追求した。そして、洞峰沼中の栄養塩濃度を急速に低下させた前後の年度に、現場における浮遊性および付着性の藻類と細菌類の個体群生長速度を物質環境制御装置を用いて擬似現場的に測定することに成功した。 洞峰沼は、本来は中準位の中栄養型で指標される沼の一つであったが、ホテイアオイを用いた「バイオフィルターシステム」の稼働によって数週間以内の期間に低準位の中栄養型で指標される湖沼型に移行することが明らかになった。この環境変化の結果として、夏季の植物プランクトンブルームの発生は抑えられた。このブルーム発生抑制作用の機構を解明するために、藻類や細菌類の生長速度と環境要因との関係に関する生態学的解析を行なった。そして、洞峰沼における植物プランクトンの個体群成長速度には、物理化学的環境要因のうちアンモニア塩と燐酸塩とが統計的に有意な影響を与えていることが判明した。 上記の植物プランクトンブルームの発生抑制機構の解析に続いて、浮遊性と付着性の細菌群集や付着性単細胞藻類に及ぼす環境要因の影響などを現在解析中である。
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