1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63560202
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Research Institution | Tokyo University of Fisheries |
Principal Investigator |
塩見 一雄 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (90111690)
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Keywords | 魚類 / 刺毒 / 致死活性 / 溶血活性 / ヒアルロニダ-ゼ |
Research Abstract |
1.ヒフキアイゴ、ムシクイアイゴおよびゴンズイの刺棘から得た粗毒には致死活性は認められなかったが、ウサギ赤血球に対して特異的な溶血活性が検出された。前年度にオニオコゼ科2種およびフサカサゴ科4種の合計6種魚類からの刺毒はいずれもウサギ赤血球を特異的に溶血することを明らかにしており、魚類刺毒にはウサギ赤血球に対する溶血因子が広く分布すると結論された。なお、数種エイ類の刺棘からの粗毒には致死活性も溶血活性も検出されなかったが、用いた刺棘が凍結試料であったため、凍結中に失活したものと思われ、今後再検討したい。 2.オニダルマオコゼ刺毒中のヒアルロニダ-ゼをDEAE-セルロ-ス、ヒドロキシアパタイトにより部分精製し、分子量60000〜70000の不安定な酸性タンパク質であることを認めた。ヘビ毒やヒト精液中のヒアルロニダ-ゼはいずれも塩基生タンパク質であることが知られており、魚類刺毒中のヒアルロニダ-ゼはかなり性質が異なっていると推測された。 3.オニダルマオコゼ、オニオコゼ、ミノカサゴおよびハナミノカサゴの刺毒のHPLC(TSK-gel G3000SW)挙動を相互比較した。その結果、いずれの毒にといても致死活性と溶血活性は同じ位置に溶出されることから、これら活性は同一因子によって発現されると判断され、さらに致死因子(溶血因子)の分子量は魚種によらず約90000と推定された。またいずれの毒のヒアルロニダ-ゼもほぼ同じ位置に溶出され、分子量は60000〜70000と見積られた。以上より、4種魚類の刺毒中のの致死因子の化学的性質はお互いに、またヒアルロニダ-ゼの化学的性質もお互いにきわめて類似していると推測された。しかしながら、致死因子の安定性の点では魚種間に差異が見られることから、今後の魚類刺毒に関する研究はやはり個々の魚種について行う必要があると考える。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kazuo Shiomi: "Venoms from six species of marine fish:lethal and hemolytic activities and their neutralization by commercial stonefish antivenom" Marine Biology. 103. 285-289 (1989)
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[Publications] Kazuo Shiomi: "Stonefish(Synanceja verrucosa)venom:purification of a lethal factor with hemolytic and capillary permeability-increasing activities" Toxicon.