1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63560205
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
堀 貫治 広島大学, 生物生産学部, 助手 (50116662)
|
Keywords | 海藻レクチン / 単離 / N末端アミノ酸配列 |
Research Abstract |
当初計画では、63年度に紅藻カギイバラノリレクチンの、64年度に紅藻ミリンレクチンの各単離と1次構造解析を行う予定であったが、63年度に上記両レクチンの単離を行うとともに、新たに紅藻シラモレクチンの単離を行い、64年度にこれらレクチンの1次構造解析を行うよう計画変更した。すなわち、63年度は以下の研究実績にとどまった。 カギイバラノリ、ミリンおよびシラモの各藻体を採集し、凍結乾燥後粉末とした。カギイバラノリの粉末藻体から50%エタノール抽出、エタノール沈澱、ゲル濾過、逆相およびゲル濾過HPLCにより同レクチン、Hypmin Aを単離した。次に、ミリンの粉末藻体から50%エタノール抽出、エタノール沈澱、ゲル濾過およびイオン交換HPLCによりミリンレクチン3種、Solnins A,BおよびCを単離した。最後にシラモの粉末藻体から50%エタノール抽出、硫安塩析、Asiolofetuin-CellulofineアフィニティークD2トグラフィーおよびゲル濾過HDLCによりシラモレクチン、Granin-Bを単離した。これら精製レクチンはいずれも等電点電気泳動上単一であった。 そこで、次に、Solnins A,BおよびCとGranin-BのN末端アミノ配列を自動プロテインシーケンサーを用いて検討した。その結果、Solnins A,BおよびCのN末端30残基の配列は、3種ともGRYTVQNWGGS SAAWNDAGLWVLGSKANQで全く同じであった。さらに、Granin-BのN末端25残基の配列は、()RYTVQNWGGSSA()WN()AGL()VL()Sで、先のミリンレクチンの同配列とほとんど同じであった。このように、海藻2種からの計4種レクチンはほとんど同じN末端アミノ酸配列を有していることが判明した。これらの配列は、互いに相同性を示す陸上植物レクチンのN末端アミノ酸配列と明らかに異なっており、海藻レクチンの全1次構造解明はレクチンの分子進化を考察する上でも極めて興味ある課題となった。
|