1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63560207
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
境 正 宮崎大学, 農学部, 助教授 (60136794)
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Keywords | ビリルビン / ビリルビン抱合体 / タウリン / 黄疸 / 脂質過酸化 / 高性能液体クロマトグラフィー / 2-チオバルビツール酸値 / α-トコフェロール |
Research Abstract |
1.魚類胆汁中の高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)による胆汁色素分析システムを作製した。できたシステムは各胆汁色素成分の分離も良く、その検出限界、検量線の直線性及び再現性にも優れていた。 2.ウナギ胆汁中の未知のbilirubinX異性体の同定を試みた。そのもの及びジアゾ誘導体はHPLCにて分析した結果より、その未知の異性体をbilirubinXβと同定した。また、このbilirubinXβは胆汁中の全bilirubinの20%を占めており、ウナギのbilirubin排泄において重要と考えられた。 3.ブリをタウリンを含む餌と含まない餌とで一カ月飼育下後フェニルヒトラジンを投与し、その胆汁中のditaurobilirubin含量と肝臓中のタウリン含量の変動を調べた。その結果、肝臓中のタウリン含量がある一定レベルに達していないと、胆汁にditaurobilirubinを旨く排泄できないことが明らかとなった。このことは、ditaurobilirubinがブリにとって胆汁中へのbilirubin排泄の主成分であることから、肝臓中タウリン含量をあるレベルに保つことより、黄疸症を予防できる可能性があることを示唆していると思われた。 黄疸発症ブリを入手し、胆汁中の胆汁色素をHPLCにて分析した。また、肝臓及び筋肉中の2-チオバルビツール酸値(TBA)及びα-トコフェロール含量を調べた。黄疸魚の肝臓及び筋肉のTBA値はコントロール魚よりも高く、脂質の過酸化が進行していることを示していた。また、黄疸魚の筋肉において脂質の過酸化が進行しているにもかかわらず、α-トコフェロール含量も高いこと及びbilirubinの抗酸化機能を考慮すると、この黄疸症は脂質の過酸化を防止するためにbilirubinが、肝臓及び筋肉に蓄積したために発症すると考えられた。
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