第三紀層地すべり粘土および母岩(泥岩)の土質工学的性質に関する研究

1988 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 63560225
• Research Institution: Gifu University
• Principal Investigator: 仲野 良紀 岐阜大学, 農学部生物生産システム学科, 教授 (40135182)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 清水 英良 岐阜大学, 農学部生物生産システム学科, 助手 (90144005)
• Keywords: 残留強度 / 完全軟化強度 / 再活動地すべり / 膨張性トンネル / 新第三紀層 / 膨張性土圧

Research Abstract

新潟県東頸城郡松之山町水越地区、同郡清里村万福地区の地すべり地およびこれらの地区と同種の地質(新第三紀層の椎谷層ないし寺泊層)を掘削中の鍋立山トンネルから試料を採取し下記の研究を行った。
1)一面剪断試験機により、地すべり粘土〜泥岩のプレカット試料の繰返し剪断試験を行った結果、残留強度定数として、C_r 0、φ_r 10^0が得られた。この値を用いて、すべり面の位置および地下水の位置が判明している上記の地すべりについて安定解析を行った結果、安全率F_S=1.0が得られ、これらの再活動地すべりの剪断強度は残留強度になっていることが明らかになった。
2) 残留強度定数φ_rと2μ以下の粘土分の含有量CFとの関係を調べた結果、両者の間にはロンドンクレーについて認められている関係と同様な関係が成立し、CF>40%ではφ_r 10^0となることが確認された。この結果、我が国の地すべり粘土の残留強度を推定する上で有効であることが分った。
3) 昭和63年度の研究補助金で購入したリングシヤ試験機による残留強度試験を行った。未だ実験数が不十分なので確定的なことは言えないが、現時点までの実験結果では、この方法による残留強度定数φ_rは繰返し一面剪断試験によって求めたφ_rの値より1〜2°低めである。その原因について次年度に引き続き研究する予定である。
4) 鍋立山トンネルの膨張性土圧による難工区間の断層粘土の含水比は、かぶり150mの土圧に相当する平均有効主応力P'=30kgf/cm^2に相当する完全軟化状態の含水比w=25%になっていることが分った。また特に極端に難工している区間ではメタンガス圧が16kg^f/cm^2あり、これを考慮に入れたときの平均有効主応力P'=30-16=14kg^f/cm^2に相当する完全軟化状態の含水比w=28%になっていることが分った。