1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63560254
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 惇 東北大学, 農学部, 助教授 (60007680)
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Keywords | 肉質 / 骨格筋 / 筋線維型 / 液汁性 |
Research Abstract |
めん羊の骨格筋を構成する筋線維は、酵素組織化学的方法によりI型とII型に大別される。めん羊では、特に、I型筋線維は、肥育によって脂肪を筋線維内に蓄積する能力を有し、肉の嗜好性の重要な因子である液汁性と深い関係がある。I型筋線維の割合が多い筋は、液汁性が高いと判断されるので、この研究ではその割合が、10%まで1、20%を2、30%を3、40%を4、50%以上を5とする評点を設定した。体幹筋、殿筋、大腿筋の筋線維型構成の解析とその分布図から、次のことが判った。 体幹筋:胸および腰最長筋では、I型筋線維は8.8%〜17.9%と少なく評点は2、大腰筋ではI型筋線維は28.8%で評点は3であった。殿部:中殿筋ではI型筋線維は、浅部で11.7%、深部で41.3%、平均で評点は3、副殿部では59.0%、深殿筋では73.7%でともに評点は5と高かった。大腿部:大腿直筋、外側広筋、内側広筋では、浅部でI型筋線維が12.5〜14.8%で評点は2と低く、深部では44.4〜72.8%、中間広筋では100%となり、ともに評点は5と高かった。大腿尾方に位置する殿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋、縫工筋、内転筋、薄筋では、I方筋線維は9.4〜29.0%で評点は1〜3で低かった。胸および腰最長筋(ロース)と大腿尾方にある多くの筋(シキンボ・ウチモモ)は、評点は低く、液汁性は劣る。大腰筋(ヒレ)は液汁性はやや良く、殿筋(ラン)および大腿四頭筋(シンタマ)の中央から深部は、評点は高く、優れた液汁系を示し得ることが判った。I方筋線維は、関節を伸展して姿勢保持に作用する抗重力筋に多く分布する。これは、体幹筋にI方筋線維を増加させて肉質を改良するのに必要な指針を示唆する知見で、この確認のために、次の研究で、前肢筋群を調べることが不可欠となった。また、ここで示した評点に、筋の結合組織量(硬さ)を調べてその評点を加味して、食肉の各部位における嗜好性の評価を示す階級表を作る計画をしている。
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Research Products
(2 results)