1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63560257
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大久保 忠旦 東京大学, 農学部, 教授 (90115535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 寛二 東京大学, 農学部, 助手 (50126166)
澤崎 徹 東京大学, 農学部, 助教授 (00012047)
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Keywords | 草地のエナジーフロー / 草地の光利用効率 / 放牧 / 育成子牛 / 生産効率 |
Research Abstract |
放牧草地の植物・家畜・土壌系におけるエネルギーの流れの数式モデルを作成する目的で、オーチャードグラスの草地とトールフェスクの草地で植物生産量、地下部量、枯死物量、放牧牛による採食量、体重増加量の季節的推移を年間にわたって追跡した。春2回と夏と秋各1回の輪換放牧をした牛群について、放牧牛の増体と、牛体蓄積エネルギーの草地投下光エネルギーに対する比(二次生産の光利用効率」を季節間で比較するとともに、その草種による違いを明らかにした。 結果(1) 光エネルギー利用効率:二次生産における効率は、2年間の平均で、春季0.07〜0.08%、夏季・秋季は0.02〜0.03%であった。春季に比べて夏季と秋季に光利用効率が1/2以下に低下したことは、植物生産速度の季節変動の反映であると部分的には見なされるが、放牧牛の採食量は必ずしも減少しておらず、放牧牛のエネルギー代謝の季節変動、それによる増体の変動に起因していると考えられた。 (2) 増体:1頭あたり1日あたり増体は、春季には1kg前後となり、夏季と秋季には春季の1/2以下となった。この季節変動は一部は採食量に依存しているが、その寄与率は大きくない(R^2=0.18)。むしろ供給される牧草の消化率とそれ以上に放牧牛の生産効率(NEg/DE、消化エネルギーが増体として蓄積される効率)が増体の変動と高い相関を示した。生産効率は、牧草の消化率とも関連する牧草の質的因子(消化率以外の)に影響を受けていることと、動物側の因子、すなわち放牧牛の採食行動、エネルギー消費とも関係していることが示唆された。
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[Publications] OKUBO.T;K.MATSUI 他: Proc.Intern.Grassl.Congr.XVI, NICE, 1989.16. (1989)
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[Publications] 松井寛二,黒川勇三,大久保忠旦: 日畜会報. 59. 610-613 (1988)
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[Publications] K.MATSUI;S.SUGANO: Jpn.J.Vet.Sci.51. 29-34 (1989)
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[Publications] 大久保忠旦: 畜研. 43. (1989)
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[Publications] 正田陽一 編 大久保忠旦 他: "ものをつくる動物たち(草から牛肉ができるまで)" 東京書籍, 1-213 (1988)
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[Publications] 高野信雄 他 編 大久保忠旦: "草地学ハンドブック(草地の生態、放牧家畜の行動学)ほか" 養賢堂, (1989)