1988 Fiscal Year Annual Research Report
鶏における硫酸塩とアミノ酸の栄養相互関係に関する研究
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63560277
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
氷上 雄三 神戸大学, 農学部, 教授 (20031180)
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Keywords | 硫酸塩 / アミノ酸 / メチオニン / セリン / セリンデヒドラターゼ / タウリン / 尿酸 / キサンチンデヒドロゲナーゼ |
Research Abstract |
硫酸塩とアミノ酸の栄養相互関係を調べるために、メチオニン不足及びメチオニン充足飼料に硫酸塩(Na_2SO_4、0.6%)を添加した飼料を鶏ヒナに給与し、血漿・肝・筋肉の遊離アミノ酸、血漿の総窒素・非蛋白態窒素(NPN)、肝・腎のアミノ酸代謝関連酵素活性を測定し、次の結果を得た。1.硫酸塩の添加によって、血漿の総窒素は1.2倍に増加したが、NPN、クレアチンの濃度には影響がなかった。しかし、血漿の尿酸は増加し、肝・腎のキサンチンデヒドロゲナーゼ(XDH)活性も上昇した。(それぞれ1.4倍、1.6倍)。このことから、硫酸塩の添加によって窒素化合物の排泄が活発になるものと推測された。この点については尿中成分を調べ、出納を検討する必要がある。2.硫酸塩の添加によって、肝・筋肉のタウリンが増加したが、血漿の遊離メチオニン、シスチン及び肝・筋肉の遊離メチオニンには変動がなかった。これら成分の変動から、硫酸塩は体内の遊離含硫アミノ酸濃度には影響しないが、タウリンなどの含硫化合物の体内合成に利用されることが示された。3.硫酸塩の添加によって、肝のグルタミン酸-ピルビン酸トランスアミナーゼ(GPT)活性には影響ないが、グルタミン酸-オキザロ酢酸トランスアミナーゼ(GOT)活性は1.3倍に上昇することが示された。一般に鶏においてはGOTはGPTの約20倍の活性があるので、アミノ基転移反応への硫酸塩の影響においてGOTの関与が著しく大きいことが示された。4.硫酸塩の添加によって、血漿の遊離セリンが増加しているとき、腎におけるセリデヒドラターゼ(SDH)活性は低下することが示された。このことから、セリンの分会酵素であるSDHの活性が硫黄塩によって抑制され、またセリンはアミノ基転移反応を受け難いことも知られているので、その結果、血漿にセリンが蓄積するものと推測された。この点についてはセリン代謝の他の経路も併せて検討する必要がある。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 氷上雄三: 日本家禽学会会誌. 25. 249-253 (1988)
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[Publications] Yuzo Hikami: Japanese Poultry Science. 25. 238-295 (1988)
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[Publications] Yuzo Hikami: Japanese Poultry Science. 26. (1989)