1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63560279
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
谷口 幸三 広島大学, 生物生産学部, 助教授 (30093777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小櫃 剛人 広島大学, 生物生産学部, 助手 (30194632)
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Keywords | 反芻動物の腸内消化 / 揮発性脂肪酸 / デンプン / 窒素 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、人工栄養飼育羊の小腸、大腸における蛋白質、デンプンの消化・吸収・利用に及ぼす繊維の影響を明らかにするため試験を実施した。当初は蛋白質とデンプン、ミネラル注入レベルを高めた場合について調べる予定であったが、デンプン注入量を増加させると、供試羊はいずれも下痢症状を呈し、試験は困難になった。そこで、計画を変更し、第一胃注入揮発性脂肪酸(VFA)組成とVFA注入レベルの違いによる影響を調べた。これは、通常の飼料条件下では腸管内に移行する繊維量は当然第一胃内発酵を受けた残りであり、第一胃内繊維量は第一胃内発酵に伴うVFA組成とその量に影響するからである。試験はVFA中の酢酸:プロピオン酸:酪酸のモル比を70:20:10(AL区)、45:45:10(PL区)とする区と、PL区と同一組成で注入レベルを1.5倍(PH区)とする3処理区を設けた。他の飼育方法は前年度と同様とした。結果:(1)窒素の各腸管別消化率は、小腸内86.7〜90.7%、大腸内-1.6〜3.4%であり、小腸、大腸および全腸管のいずれにおいてもVFA組成ならびにその注入量の影響はなかった。(2)窒素蓄積率は、AL区よりもPL区で、PL区よりもPH区で高くなった。(3)デンプンの各腸管別消化率は、小腸内で79.2〜93.3%、大腸内4.3〜18.4%、全腸管で97.0〜97.6%であり、小腸内デンプン消化率はAL区よりもPL区、PH区で低下した。(4)得られた数値を解析した結果、デンプンの小腸内消化率は、第一胃内への酢酸注入量との間に正の有為な相関関係(r=0.65、n=12、P>0.05)にあった。以上の結果から、反芻動物の小腸内栄養素の消化・吸収・利用性に反芻胃内発酵産物であるVFAが関与し、摂取繊維の第一胃内発酵に対する影響も無視できないことが明らかになった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Taniguchi,K.: "Effects of Ruminal Undigested Fiber on Intestinal Starch Digestion in Sheep Fed Different Rations and with Starch Infusion into the Abomasum" Asian-Australasian Journal of Animal Science. 2. 353-354 (1989)
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[Publications] 谷口幸三: "羊の腸内デンプンと蛋白質消化に及ぼす繊維と揮発性脂肪酸の影響" 日本畜産学会報.