1989 Fiscal Year Annual Research Report
組織培養汚染マイコプラズマ検出用合成オリゴヌクレオチドプロ-ブの開発と応用
Project/Area Number |
63560290
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Research Institution | UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
原澤 亮 東京大学, 医学部(医), 助教授 (70159101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水澤 博 国立衛生試験所, 細胞バンク, 室長
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Keywords | マイコプラズマ / 組織培養 / プロ-ブ |
Research Abstract |
組織培養にはさまざまなマイコプラズマが重度に汚染することがあるため,憂慮すべき事態となっている。たとえば,(1)マイコプラズマに汚染された組織培養においては培養細胞1個に10^2〜10^3個のマイコプラズマが付着するために,培養細胞のDNAを組換えDNA実験のDNA源とした場合には,その2.5〜25%がマイコプラズマ由来となるため,「実験指針」に抵触するような過ちを犯すことがあること,(2)マイコプラズマはヌクレオシドホスホリラ-ゼ活性を有するため,ミエロ-マ細胞に汚染するとハイブリド-マ作出時のHAT培地での選択効率が著しく低下するなど,重大な問題を生起する。本研究はこのように組織(細胞)培養を汚染するマイコプラズマを合成オリゴヌクレオチドプロ-ブを用いて検出することを目的としている。そこでマイコプラズマ・カプリコラムの5Sリボソ-ムRNAの中からル-プ構造の領域に相補的な24塩基(5′-CTAACTTCTGTGTTCGGCATGGGA-3′)から成るオリゴヌクレオチドを化学合成し,これをビオチンにより標識してドット・ブロット法によるDNA-RNAハイブリダイゼ-ションを行ったところ,ビオチンが培養細胞由来のタンパク質と反応するため非特異現象が認められ,実用に適さないことが判明した。次いでアルカリホスファタ-ゼによる酵素標識を行ったところ,酵素分子が合成オリゴヌクレオチドに比較して大き過ぎるため立体障害を起こし,核酸間のハイブリット形成率が低下することが明らかになった。これまでの研究ではアイソト-プ標識によるプロ-ブの検出感度が最も高いという結果が得られているが,放射性物質であるため取り扱いが不便であるので,今後は検出方法をポリメラ-ゼ連鎖反応(PCR)に変更して実用化を計る必要があろうと思われた。
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[Publications] Matsuzaki,M.,Harasawa,R.,Kimizuka,F.,& Koshimizu,K.: "A non-radioactive DNA prove for the detection of Mycoplasma pulmonis in murine mycoplasmosis." Microbiology and Immunology. 33. 129-132 (1989)
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[Publications] Harasawa,R.,Kotani,H.,& Koshimizu,K.: "Genomic heterogeneity of canine ureaplasmas revealed by restriction endonuclease analysis." Journal of Veterinary Medicine,series B. 36. (1989)
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[Publications] 原澤亮(分担執筆): "マイコプラズマとその実験法(輿水・清水・山本編)" 近代出版, 472 (1988)