1989 Fiscal Year Annual Research Report
体外受精系を利用したウシ精子の染色体分析法の確立とX,Y精子
Project/Area Number |
63560298
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菱沼 貢 北海道大学, 獣医学部, 助手 (30183578)
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Keywords | 体外受精 / ウシ / 精子 / 染色体 / ハムスタ- |
Research Abstract |
1.ウシにおけるY精子の判定法とPercoll密度勾配遠心によるX,Y精子分離法の検討 キナクリンマスタ-ドによりヒトとウシの精子およびリンパ球を蛍光染色し、F-bodyの検出を試みた結果、ヒト精子では、45.4%にF-bodyが認められた。ヒトのリンパ球のF-bodyは、女性では認められなかったが、男性では、検出率が92.7%であり、さらに分裂中期核板中に、強い蛍光を示す染色体が1個検出された。しかし、ウシの精子とリンパ球では、F-bodyは傑出されなかったことから、ウシ精子の性別判定のためには、F-bodyの検査は不適であり、異種間あるいは同種間体外受精系を使用するのが最も確実な方法であることが判明した。 次にヒト精子で用いられている密度勾配遠心によるX,Y精子分離法のウシ精子への適用性を調べるため、Percoll密度勾配の層の数と密度、遠心時間および遠心力を変えて、各層から回収した精子について異種間体外受精を実施しているが、回収した精子の活力や濃度が異なるために、安定した受精率が得られず、現在、実験を継続中である。 2.ウシ精子の染色体異常の検査 ハムスタ-卵子とウシ精子の異種間体外受精を実施したところ、1頭の種雄牛の精子から、高数性の染色体異常(31,Y)を示す分裂中期核板が1例観察された。このことから、異種間体外受精法を用いて、種雄牛における精子の染色体異常の研究が可能であることが示された。また、ハムスタ-卵子との異種間体外受精を水牛の精子に応用したところ、精子の侵入が認められたので、水牛においても精子の染色体検査実施の可能性が示唆された。現在は、牛の例数を増やして、多数の種雄牛における精子の染色体異常発現率を調査中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] TAKAHASHI,Y.: "Preliminary study of buffalo sperm penetration into zona-free hamster eggs after treatment with calcium ionophore A23187." Japanese Journal of Veterinary Research. 37. 161-166 (1989)
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[Publications] KAGEYAMA,S.: "Effect of caffeine and theophylline on a capacity of bull spermatozoa treated with Ca-ionophore A23187 for penetration into zona-free hamster egg." Japanese Journal of Veterinary Research.
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[Publications] KOHNOSE,M: "Detection of the F-body in human and bovine spermatozoa and lymphocytes." Japanese Journal of Veterinary Research.