1989 Fiscal Year Annual Research Report
食品の微生物制御へのモノクロ-ナル抗体の応用について
Project/Area Number |
63560300
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Research Institution | Faculty of Agriculture, Iwate University |
Principal Investigator |
品川 邦汎 岩手大学, 農学部, 助教授 (60133906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松坂 尚典 岩手大学, 農学部, 教授 (70003754)
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Keywords | セレウス菌下痢毒素 / ブドウ球菌エンテロトキシン / モノクロ-ナル抗体 / 免疫学的毒素精製法 / 毒素検出法 |
Research Abstract |
食中毒の起因物質であるブドウ球菌エンテロトキシン(SE)に対して作製したモノクロ-ナ抗体(MAb A-111、-211:ET-Aのみ反応、MAb AE-32、-37、-53:ET-AとEの両方、MAb E0142:ET-Eのみ反応)およびセレウス菌下痢原性毒素(エンテロトキシン)に対して作製したMAb(B-10、D-5、H-1)を用いて毒素の抗原解析、検出法および毒素の精製法について検討を行った。得られた成績は以下の通りである。 1.精製SEAおよびEを各々タンパク分解酵素(パパインおよびプロテア-ゼV_8各5μg)で処理した結果、パパイン処理により3つのフラグメント(FragI、II、およびIII)に分かれ、このうちSEAについてはFragIに対しては全てのMAbがFragIIに対しては一部のMAb(A-211、AE-32、-37)が反応を示した。しかし、FragIIIにはいずれのMAbも反応しなかった。同様にSEEではFragIにはMAb(AE-37、E-142)が反応したが、II、IIIには全く反応しなかった。 他方V_3酵素処理ではSEAおよびEとも5つのFragに分かれ、SEAのFragI-IIIには全てのMAbが、FragIV、Vには、MAb(AE-32、-37、-53)が反応した。同様にSEEは、FragI-IIIにはMAb E-142が、FragI-VにはMAb AE-37が反応した。これらSEいずれのFragは数時間処理すると低分子のFragに分解した。 2.MAbを用いるサンドイッチELISAについて、ポリスチレンプレ-トに吸着させるMAb(吸着MAb)とMAbに酵素を標識した標識抗体(標識MAb)の場合について検討した結果、吸着MAb A-211と標識MAbL A-111^<+PO>および吸着MAb A-111と標識MAb AE-32^<+PO>の組合せによりET-A 1ng/mlが検出できた。また、プレ-トに吸着させるMAb濃度としては10-20μg/mlを用いて行うことが有効であることがわかった。 3.セレウス菌エンテロトキシン(BCET)に対するMAbを用いるImmunoaffinity chromatographyによるET精製法について検討した。BCETに対する各MAbの毒素の吸着、および回収率には大きな差が見られ、MAb B-10(32-41%)、D-8(16-32%)、H-1(1.3%以下)であった。また毒素の溶出バッファ-としては6M Guanidine-HCl、pH7.2パッファ-により高率に毒素の回収(16-34%)が見られた。MAb B-10吸着樹脂カラム(9×28mm)を用いる精製では、一回の操作により精製ET50-56μg(回収率31-39%)が回収できた。得られたETはSDS-PAGEで一本のバンドを形成し、また本毒素をウサギに注射して作製した抗毒素血清は粗ETに対して一本の沈降線の形成を示した。
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[Publications] 品川邦汎: "セレウス菌下痢原性毒素(エンテロトキシン)" モダンメディア. 36(3). (1990)
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[Publications] Shinagawa,K.,E.Nishimura,M.Mitsumori,N.Matsusaka and S.Sugii: "Production and characterization of murine monoclonal antibidies against staphylococcal enterotoxin A and E." Infection and Immunity.
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[Publications] Shinagawa,K.,M.Mitsumori,N.Matsusaka and S.Sugii: "Purification of staphylococcal enterotoxins A and E by Immunoaffinity chromatography using a murine monoclonal antibody with dual specificity for both of these toxins." Infection and Immunity.
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[Publications] Shinagawa,K.,K.Omoe,N.Matsusaka and S.Sugii: "Immunological studies on staphylococcal enterotoxin D:productio of murine monoclonal antibodies and immunopurification." Infection and Immunity.
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[Publications] Shinagawa,K.,R.Tachihara,N.Matsusaka and S.Sugii: "Monoclonal antibodies against staphylococal enterotoxins A and E:cross-reactivity of fragments of these enterotoxins generated by digestion of proteolytic enzymes." Infection and Immunity.