1989 Fiscal Year Annual Research Report
犬の赤血球インスリンレセプタ-に関する基礎的ならびに臨床的研究
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63560301
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小野 憲一郎 東京大学, 農学部, 助教授 (50111480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後飯塚 僚 東京大学, 農学部, 助手 (60205581)
長谷川 篤彦 東京大学, 農学部, 教授 (90011923)
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Keywords | 犬 / 赤血球 / インスリンレセプタ- / 糖尿病 / 副腎皮質機能亢進症 |
Research Abstract |
犬赤血球インスリンレセプタ-についてその測定法を確立し,さらに各種疾患時におけるそれらの変動を検討し,糖尿病,副腎皮質機能亢進症などの内分泌疾患における糖代謝異常の発症機序や各種疾患の病態を糖代謝の面から把握する目的で前年度に引き続き検討した。 1.赤血球インスリンレセプタ-測定法:反応温度(4°,15°,37℃),反応時間(0〜8時間)について検討した結果4℃,6時間が適していると考えられ,この条件で測定した健常犬17頭のレセプタ-数は21.2±10.9empty site(Ke)の親和性は0.09±0.117,filled site( Kf)の親和性は0.045±0.008であった。 2.自然発症糖尿病との関連:5例について検討したところ,レセプタ-数は159.0±167.3(63.4〜456.6)と健常犬のそれと比較し高値を示し,KeおよびKf値はそれぞれ0.017±0.010,0.009±0.005と低値であった。またインスリン治療をおこなった3例ではレセプタ-数が減少し,KeおよびKf値は増加する傾向が窺われた。レセプタ-数の減少はdown regulationの結果と考えられ,Ke,Kf値の増加は細胞内代謝の改善を表すものと推測された。 3.各種疾患との関連:副腎皮質機能亢進症に注目し,まず健常犬3例についてdexamethasoneを連日投与したところ,レセプタ-数が低下し,KeおよびKfdは増加した。また血中インスリン値の増加や耐糖能の低下が認められた。自然発症8例では高インスリン血症,高血糖ならびに耐糖能の低下が観察されたがレセプタ-数は22.0±19.0,Ke値は0.148±0.114,Kf値は0.148±0.114といづれも健常のそれと比較して差を認めなかった。副腎皮質に細胞毒性を有する薬剤を投与したところレセプタ-数は増加するもの,低下するもの様々で一定の傾向は得られなかったが,レセプタ-数の増減とKeおよびKf値の増減を考え合わせた全体としての結合能には差が認められなかった。このことから副腎皮質機能亢進症においてはインスリン抵抗性の主たる原因はレセプタ-以降の障害と推測された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kenichiro ONO et al.: "Insulin receptors of canine erythrocytes" Jpn.J.Vet.Sci.
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[Publications] Kenichiro ONO et al.: "Erythrocyte insulin receptors in diabetic dogs" Jpn.J.Vet.Sci.
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[Publications] Kenichiro ONO et al.: "Erythrocyte insulin receptors in dogs with hyperadrenocorticism" Jpn.J.Vet.Sci.