1988 Fiscal Year Annual Research Report
胎生期における胚内体腔自由細胞の定性・定量細胞学的研究
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63570001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐々木 和信 北海道大学, 医学部, 助教授 (90002261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 譲兒 北海道大学, 医学部, 助手 (90173880)
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Keywords | 腹膜腔細胞 / マクロファージ / 胎児 / 細胞計測 / マウス |
Research Abstract |
マウス胎児の胎生後期から中期にかけて、腹膜腔を遊走する自由細胞の細胞構成の変化を1.5μmメタクリレート樹脂切片で観察した。 胎生各期の腹膜腔には食胞を含むマクロファージ系単核細胞が含まれる。胎生後期ではこれに肥満細胞が加わり、18日の細胞構成は79.5%はマクロファージ系単核細胞で、残りの20.5%は肥満細胞である。成熟動物の腹膜腔に見られるような好中球や好酸球、小リンパ球は胎児体腔には認められない。従って肥満細胞が出現する以前の(胎生15日以前)胎児では腹膜自由細胞はマクロファージなどいわゆる単核食細胞系(MPS)で占められる事になる。 胎生11-13日の腹膜腔遊走細胞は、細胞直径が7〜13μmにわたって分布し、大多数は直径が9〜11μmの球形の細胞で、核胞体比は0.7以下の細胞が多い。細胞表面らかは多数の細長い細胞質突起が見られ、胞体には大型の食胞や多数の液胞が含まれ、成熟マクロファージの形態をとる細胞が少なくない。このようなマクロファージは腹膜腔のみならず、心膜腔、胸膜腔、神経管腔などにも同様に認められる。胎生15日になると腹膜腔には成熟マクロファージに加え、小型の単核細胞の比率が増加する。細胞直径の分布は、ピークが7〜8μmで、核胞体比1.0以上の高値をとる細胞が増加する。核胞体比の高い小型単核細胞の増加は、肝臓造血の発達と関連した現象と考えられる。胎生18日の腹膜単核細胞は、細胞直径の分布でピークは8〜9μmにあるが、直径10μm以上の大型細胞が15日に比べると増加し、12〜15μmの自由細胞も認められるようになる。 胎生期の腹膜自由細胞はMPS系細胞が主体で構成され、成熟マクロファージは肝臓造血以前から認めることができる。腹腔内には肝臓造血の発達と関連して小型細胞が出現・増加する。胎生12日に認められる成熟マクロファージの起源は胎生期を更に遡って観察する必要がある。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] SASAKI,K.: Journal of Anatomy. 160. 27-37 (1988)
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[Publications] SASAKI,K.: Arch.Histol.Cytol.51. 277-283 (1988)
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[Publications] MATSUMURA,G.: Anatomical Record. 222. 164-169 (1988)
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[Publications] 佐々木和信: 解剖学雑誌. 63. 334 (1988)
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[Publications] 松村譲兒: 解剖学雑誌. 63. 332 (1988)