1988 Fiscal Year Annual Research Report
POMCの細胞内プロセッシングと輸送系に関する免疫電子顕微鏡的研究
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63570004
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
黒住 一昌 群馬大学, 内分泌研究所, 教授 (20008593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 滋康 群馬大学, 内分泌研究所, 助手 (90146233)
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Keywords | 下垂体 / プロオピオメラノコルチン細胞 / 免疫電子顕微鏡 / プロセッシング / 凍結超薄切片法 / 合成ペプチド / 金コロイド |
Research Abstract |
下垂体前葉のACTH細胞で生成されるペプチドは中間部のMSH細胞と同様に、プロオピオメラノコルチン(POMC)と呼ばれている共通な前駆体ホルモンの細胞内プロセッシングにより形成される。生化学的な研究によれば、この切断は細胞内プロテアーゼの働きにより、POMC内の2個の塩基性のアミノ酸から成る部位(Lys-Arg、Arg-Lys、Arg-Arg)で行われる。 前駆体POMCに特異的な抗体を得るために、ACTH-βLPHの切断部位をまたぐペプチド((Lys-Leu-Glu-Phe-Lys-Arg-Glu-Leu-Glu)(これをST-1と名付ける)を合成し、それに対する抗体(抗ST-1)を作製した。この抗体とPOMCの各種フラグメントに対する抗体を用いて免疫電顕観察を行ない、その染色性の差異からPOMCのプロセッシングの行なわれる細胞内部位を推定した。 光顕免疫組織化学的に抗ST-1血清は中間部のMSH細胞ではゴルジ装置の領域のみを染めるが、前葉のACTH細胞に対しては、その一部の細胞のみを染め、しかも細胞質周辺あるいは全体を染める。一方、ACTH、α-MSH、β-LPH、β-endorphinに対する抗血清はMSH細胞では細胞質全体を染め、ACTH細胞では細胞質周辺あるいは全体を染める。凍結超薄切片の金コロイド法による免疫電顕所見では、MSH細胞では粗面小胞体内腔やゴルジ装置の槽内に抗ST-1に対する反応が見られ、またゴルジ装置付近の未熟な分泌果粒に強い反応が見られた。しかし未熟分泌果粒は反応しない。前駆体ホルモンであるPOMCは未熟分泌果粒には存在するが、果粒が成熟すると消失することを示している。抗ACTHで反応させると、成熟分泌果粒は強く反応するが、成熟分泌果粒の反応は弱い。抗α-MSHは未熟分泌果粒には全く反応せず、成熟分泌果粒のみ反応する。前葉のACTH細胞では、抗ST-1は成熟果粒にも強く反応し、POMCにおけるACTH-βLPAの切断はACTH細胞とMSH細胞で異なることを示唆している。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Kurosumi;H.Tosaka: Arch.Histol.Cytol.51. 193-204 (1988)
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[Publications] K.Kurosumi;H.Tosaka;K.Ijima: Arch.Histol.Cytol.52. (1989)
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[Publications] K.Wakabayashi;S.Tanaka: Acta Histochem.Cytochem.21. 221-229 (1988)