1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63570009
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大谷 修 岡山大学, 医学部, 助教授 (90127548)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 勇仁 岡山大学, 医学部, 助手 (70188134)
菊田 彰夫 岡山大学, 医学部, 講師 (10116452)
|
Keywords | コラーゲン線維 / コラーゲン線維網 / 三次元的構築 / 走査電顕 / ペルオキシダーゼ / 体液循環 / 微小環境 / 間質 |
Research Abstract |
1.室温のアルカリと水による浸軟で細胞要素を除去して作製したコラーゲン線維網のみの標本を走査電顕観察する方法(Ohtani,1987)により各種組織におけるコラーゲン線維網の三次元的構築を解明した。走査電顕下では線維を形成するTypeI、II、IIIコラーゲン(直径40〜80nm)が観察された。コラーゲン線維網は各器官・組織で一つの連続体を作り上げており骨格を形成していた。一方、コラーゲン線維網は次のような存在様式を示した。(a)太い束をなすもの(いわゆる膠原線維;腱、肝臓のゾリソン鞘、筋周膜、神経周膜など)、(b )細い束が種々の方向に織りなされて薄い膜となるもの(いわゆる細網線維;血管、リンパ管内皮の周囲、筋内膜、神経内膜、外分泌腺の腺房周囲、甲状腺の濾胞周囲、消化管の粘膜など)(c)リンパ組織では比較的細いコラーゲン線維束が細網細胞につつまれ、この両者で細網組織が構成されていた。(d)角膜では細いコラーゲン線維が密に平行に並んでシート状となり、それが層をなしていた。(e)非常に密に織りなされてシート状を呈するもの(皮膚や小腸絨毛の上皮下)。(f)多量の細胞間物質が蓄積しているためにコラーゲン線維は疎な網工を形成(骨や軟骨)するものなどであった。このようにコラーゲン線維網が各器官や組織に特有の存在様式を示すことは、器官・組織の機能発現に都合のよい微小環境形成にコラーゲン線維網が関与していることを示すと考えらえる。 2.西洋ワサビ・ペルオキシダーゼ静注後の組織を透過電顕観察することにより、コラーゲン線維の存在する間質区画が組織液の貯溜、移動する場をなしていることが明らかとなり、体液循環上重要な役割を果たしていると考えられる。 3.今後、三次元的コラーゲン線維網が各種組織・器官の形成・機能発現にどのように関与しているかを細胞培養などにより解明していきたい。
|
-
[Publications] Osamu Ohtani,;Tatsuo Ushiki,:Takenito Taguchi,;Akio Kikuta.: Arch.Histol.Cytol. 51. 249-261 (1988)
-
[Publications] Osamu Ohtani.: Arch.Histol.Cytol. 51. 473-488 (1988)
-
[Publications] Osamu Ohtani,;Akio Kikuta.: Cell Tissue Res.
-
[Publications] Akio Kikuta,;Osamu Ohtani.: Amer.J.Anatomy.
-
[Publications] 田口勇仁、大谷修、菊田彰夫: 医生物走査電顕. 17. 110-111 (1988)