1989 Fiscal Year Annual Research Report
In vitroおよびin vivoにおける網内系細胞の肝細胞分裂促進作用
Project/Area Number |
63570012
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Research Institution | KUMAMOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤井 宏彦 熊本大学, 医学部, 助教授 (20040173)
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Keywords | 肝細胞 / エストロジェン / アルファ-フェトプロテイン / 移植 / 再生 / 類洞 |
Research Abstract |
1.肝細胞と非実質細胞(網内系細胞)の分離、精製:前年度と同様にKlaunigら(1981)のコラゲナ-ゼ灌流法により細胞を分離した。エストリオ-ル(E3)投与(0.2mg)マウスでは非実質細胞が急激に増加し、ピ-ク時(5日)には正常の5倍となった。BrdUを使った免疫組織化学的検索によると、これは主に類洞壁の内皮細胞、クッパ-細胞の分裂によるもので、こうした作用はエストロジェン様作用を有する化合物のみに見られ、肝臓に特異的なものであることが分かった(第94回日本解剖学会総会発表)。同時に血中に正常ではほとんど出現しないアルファ-フェトプロテイン(AFP)が出現し、逆にアルブミン(ALB)量が減少した。抗AFP抗体、抗ALB抗体による免疫組織化学より、肝細胞でAFPが産生され、ALBの産生が抑制されるためであることが分かった(Arch.Histol.Cytol.1989)。以上のことは本研究により派生したものであるが肝臓にたいするエストロジェンの新しい作用の発見であり、重要な問題を提起していると考えられる。2.生体への移植:肝細胞を移植すると、腸間膜においてのみ肝再生が起こった。移植4日目には類洞様血管が形成され、10日目には正常肝と変わらない組織像となり、電顕観察でも特徴的な内皮細胞を有する類洞、肝細胞索、ディッセ腔などが認められ肝再生が確認された。他の部位では類洞様血管が形成されなかった("Transplantation"に投稿中)。肝細胞単独移植と非実質細胞との混合移植の間に肝再生に有意の差は見られなかった。E3を与えると肝再生はさらに促進された。3.培養細胞の移植:肝細胞と網内系細胞を混合培養後腸間膜内に移植したが、肝組織は再生しなかった。混合培養では肝細胞機能は保持されるが、再生機能はダメ-ジを受けることが分かった。以上のことから、肝細胞はむしろ網内系細胞あるいは類洞構造の増殖、維持に積極的に関与していることが示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Kiminari TERAO,Hirohiko FUJII,Masahiko KOTANI and Hitoshi OKAMURA: "Different Responses of Albumin-Containing and Alpha-Fetoprotein-ContainingCells to Estriol in the Adult Mouse Liver." Arch.Histol.Cytol.52. 71-76 (1989)