1988 Fiscal Year Annual Research Report
アセチルコリン抗体による脳内コリン神経系の免疫組織化学
Project/Area Number |
63570029
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
木村 宏 滋賀医大, 医学部, 助教授 (40079736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 彰彦 滋賀医大, 医学部, 助手 (80198986)
遠山 育夫 滋賀医大, 医学部, 助手 (20207533)
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Keywords | アセチルコリン抗体 / 免疫組織化学 / コリン神経 / ラット / 脳 |
Research Abstract |
アセチルコリン神経系の形態学的研究は、本研究者らが先駆的に成功した合成酵素の免疫組織化学が一般化するにおよんで、急速に進展しつつある。しかし動的なコリン神経機能を追跡するためには伝達物質を直接に可視化することが望ましく、たとえばセロトニンやギャバなどではこの考え方が実証され機能形態学の研究が飛躍的に進んでいる。コリン神経の場合もこの流れに沿ってアセチルコリン抗体の開発競争がここ数年続けられている。しかし、ラット脳内神経系の分布図を作図できるほど満足する報告はまだない。本研究者らは、このアセチルコリン免疫組織化学の実用化を妨げていた問題点を検討した結果、アセチルコリン抗体の作成法に関し次のような結果を得た。アセチルコリン、アセチルチオコリン、塩化コリン、サクシニルコリン、ブチリルコリンなどをハプテン抗原としてウシ血清アルブミン(BSA)と結合させる。この結合法として、マンニック反応、グルタルアルデヒド架橋、カルボジイミド結合などを検討したところ、グルタルアルデヒド架橋法によってサクシニルコリン、塩化コリンなどがBSAと結合複合体を作ることが判明した。しかしなお、アセチルコリンと反応させることは困難であった。それに代わるのはチオコリンでありマンニック反応で十分な結合が得られた。この最後のチオコリンBSA複合体を家兎に反覆注射し、現在免疫抗体を作成中である。抗体価は徐々に上昇しつつあり、グルタルアルデヒド固定処理した脳切片で、コリン神経と思われる細胞が可視化できるようになった。しかし、それら陽性ニューロンの突起などはまだ十分に観察できるには至っていない。次年度の課題は、抗体価を上昇させる工夫をすること、脳切片の固定処理法を検討すること、が主目的となる。以上の問題はある程度解決策が見つかっているので、一層この所期目的に向って努力したい。
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[Publications] 木村宏: 医学のあゆみ. 139. 81-86 (1986)
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[Publications] 木村宏,水谷幸之祐,冨本秀和: 医学のあゆみ. 142. 905 (1987)
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[Publications] Beach,J.;McGeer,P.L.;Kimura,H.: Journal of Neuroscience Method. 19. 183-192 (1987)
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[Publications] 木村宏: "組織細胞化学" 抗体の作成と特異性検定法, 127-142 (1988)