1988 Fiscal Year Annual Research Report
再生神経成長端の基底膜との接着メカニズムの解析ーteasingによって分離された単一の基底膜筒を用いてー
Project/Area Number |
63570033
|
Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
遠山 稿二郎 岩手医科大学, 医学部, 助教授 (10129033)
|
Keywords | 神経再生 / 免疫組織化学 / 基底膜 / teasing / 神経成長端(growth cone) |
Research Abstract |
伸長する再生軸索とその足場との接着機構は、神経再生のメカニズムを考える上で重要である。これを解明するには再生軸索の形態を正確に把握する必要がある。本研究では、シュワン細胞の基底膜の筒内を伸びる再生軸索の形態を詳しく調べるため、細い針で単一の基底膜筒に分け抗神経細線維蛋白モノクローナル抗体(RT97)で免疫染色した。光学顕微鏡では、同一の基底膜の筒内に再生した複数の軸索を先端まで連続して観察することができ、その形態は、おおまかに(1)、太く、分岐の少ないもの。(2)、細く、極めて多くの分枝を持つもの。(3)、(1)と(2)の中間の太さで、ある程度の分枝をもつもの。の三種類に分けることができた。これらの形態的な相違は、神経細胞の性質を反映していると考えられる。また、途中には多くの膨隆部が観察されたが、注目すべきことに、先端部は膨隆をつくらず、むしろ細いままで終わっていた。しかし、電子顕微鏡で観察すると、光顕的には膨隆が見られない部位でも、先端部付近に、多くの大小の小胞やミトコンドリアを含む、growth coneの形態を備えている部分があることが明らかとなった。このことは、光顕的な膨隆部が神経の成長に関わる重要な部位であるとする従来の考え方に問題があることを示している。また、培養条件下で見られるfilpodiaは、極めて少なく、in vitroの場合とは、異なる形態を示した。一方、再生軸索と基底膜との関係を検討するため光顕で観察後、同一標本を電顕で連続的に調べると、再生軸索は、常に基底膜に接していることが明らかとなった。これは、これまで知られていない事実であり、再生軸索の細胞膜には、接触のための特殊化した部分が広範囲に存在することを示している。なお、NーCAM、ラミニン・リセプターについては、抗体の特異性に問題があり、解析しうる結果を得ることはできなかった。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 遠山稿二郎: 日本解剖学雑誌. 63. 335 (1988)
-
[Publications] 井出千束: 総合リハビリテーション. 16. 559-566 (1988)
-
[Publications] 井出千束: 生体の科学. 39. 280-286 (1988)