1988 Fiscal Year Annual Research Report
神経核の形成過程の解析ーー内側視束前核ニューロンの発生移動と細胞死をモデルとして
Project/Area Number |
63570034
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
西塚 雅子 順天堂大学, 医学部, 講師 (20133332)
|
Keywords | ニューロン / 発生 / 細胞死 / ブロモデオキシウリジン / ステロイドホルモン |
Research Abstract |
1.チミジン類似物質ブロモデオキシウリジンとその抗体を用いて、ラットの内側視束前野の前腹側室周囲核のニューロンの発生時期を決定した。この神経核のニューロンは胎生期13ー18日に発生し、発生のピークは14ー16日にみられる。ニューロンへのいわゆる最終分裂は第三脳室を形成する胚芽層で起こり、1〜2日で実質へ移動する。神経核が形成された時点でニューロンの発生時期の早晩や発生部位の違いなどによる時間的空間的なニューロン分布パターンは認められない。2.胎生期13ー18日の神経核構成ニューロン発生期に、第三脳室上衣細胞はグリアフィラメント蛋白成分をすでに発現していることを、免疫組織化学的に見出した。3.胎仔ラット脳のこの神経核を含む領域をトリプシンにより細胞塊に分離して、数日培養すると、グリアフィラメントを含む突起に沿って、神経細胞が認められた。2と3の観察結果は、前腹側室周囲核ニューロンが移動して細胞集団を形成する過程でグリアが関与する可能性を示唆している。4.細胞外基質成分であるフィブロネクチン蛋白とコラーゲンI型に対する抗体を用いて、神経核形成時のこれらの物質の消長を調べたところ、ニューロン発生ピーク時には、これらの物質はニューロン外部に分布して基質を構成していた。しかし上衣細胞層にはこれらの物質は殆んど認められなかったことから、ニューロンがこれらの物質を産生分泌する可能性が指摘された。5.神経核ニューロン発生期間ステロイドホルモンであるテストステロンを投与したところ、ニューロンの発生が促され、胎生期終りの時点で、対照群に比べ、投与群の神経核は多数のニューロンにより構成されていた。しかし出生後両群のニューロン数には違いがみられなかったことから、ステロイドホルモンがニューロンの発生を促すのみならず、一部の細胞を選択的に死に至らしめる作用をもっていた可能性が示唆された。胎生期のホルモン作用は新しい知見である。
|
-
[Publications] Nishizuka,M.: Experimental Brain Research. (1989)
-
[Publications] Ohta,H.: Japanese Journal of Pharmacology.
-
[Publications] Nishizuka,M.: Brain Research.
-
[Publications] Nishizuka,M.: Brain Research.
-
[Publications] Nishizuka,M.: Neuroscience Research. (1989)
-
[Publications] 西塚雅子: 神経研究の進歩. 32. 751-761 (1988)
-
[Publications] Arai,Y.: "Toxicity of Hormones in Perinatal Life" CRC press, (1989)