1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63570036
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
大橋 俊夫 信州大学, 医学部, 教授 (80020832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 幸代 信州大学, 医学部, 助手 (30020788)
松木 孝道 信州大学, 医学部, 助手 (30199773)
河合 康明 信州大学, 医学部, 助教授 (70143972)
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Keywords | 静脈 / アドレナリン作動性神経 / 無髄神経 / 大・小含粒小胞 / 部位差 / サル / イヌ / ウサギ / ノルアドレナリン |
Research Abstract |
静脈系とは末梢に貯留した血液を心臓に戻すための導管系として働いているばかりでなく、経壁内圧の変化や神経・体液性調節状態の変化によって壁平滑筋の緊張を変え、血液量の再分配を引き起こし、右心房の充満圧や心拍出量を調節している臓器としての作用をも有する。このように、静脈系は循環動態の調節機構における制御臓器として重要な役割を果していることがわかる。そこで今年度は、この静脈系の神経支配の種差、部位差を中心に体系的に解析し、下記の事実が判明した。 静脈壁にはその神経末端に大小含粒小胞を持った無髄神経が存在した。その分布特性は動脈系と異なり、静脈壁全体に及んだ。グリオキシル酸法を用いて、中型から大型の静脈壁に分布するアミン作動性神経の分布様式の部位差と種差を検討した。サル下大静脈(横隔膜直下部)の全体標本には、途中にバリコシィティを持った蛍光線維が網目状に分布し、スペクトル分析よりこの蛍光はノルアドレナリンであることが確認された。横隔膜より下部のサル静脈系におけるアドレナリン作動性神経の分布様式を解析した。実験は一定規格(0.1×0.1mm)の静脈標本に認められた蛍光線維数の10区画平均より分布密度を3グループに分類した。分布密度が最も高い(>10)部位は、門脈、腎静脈、腹部下大静脈、総腸骨静脈、皮下を走行する外側伏在静脈であった。また二尖弁の上流部は通常やや膨隆し、その部位への神経支配は特に緻密となっている傾向が認められた。深部の四肢静脈は一般にアドレナリン作動性神経の分布密度は低下する傾向が認められた。特に外側伏在静脈の内、骨格筋の筋群間を走行する部位でアドレナリン作動性神経の分布密度は最も低値を示した。こうした部位差は、定性的にはイヌ、ウサギにおいても同様に認められた。しかしながら、同名の静脈におけるアドレナリン作動性神経の分布密度の絶対値はサル、イヌ、ウサギの順で低下した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 大橋俊夫: 医学のあゆみ. 147. 341-344 (1988)
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[Publications] 大橋俊夫: 呼吸と循環. 37. 127-135 (1989)
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[Publications] Ohhashi,T.;Jacobowitz,D.M: Peptides. 9. 613-617 (1988)
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[Publications] Kawai,Y.;Kobayashi,S;Ohhashi,T.: Can J.Physiol & Pharmacol. 66. 655-659 (1988)
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[Publications] Watanabe,N.;Kawai,Y.;Ohhashi,T.: Microvasailar Research. 36. 239-249 (1988)
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[Publications] Ohhashi,Y.;Watanabe,N.;Kawai,Y.: Am.J.Physiol.(1989)