1989 Fiscal Year Annual Research Report
膵ランゲルハンス島β細胞における陰イオンの生成および蓄積
Project/Area Number |
63570037
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
北里 宏 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (20079700)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾松 万里子 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (80161397)
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Keywords | 膵β細胞 / ジヒドロピリジン / SITS / アセタゾ-ルアミド / ナトリウム・スパイク / カルシウム・スパイク |
Research Abstract |
細胞外グルコ-ス濃度が上昇すると、膵β細胞ではCO_2生成速度が上昇し、インスリン放出量が増大する。これと並行して脱分極が起り、その脱分極の上に多数のスパイクが発生する。細胞外グルコ-スに誘発されて脱分極が起こる際、K^+コンダクタンスが低下することは既に明らかにされているが、その背景としては内向に流れる電流を運ぶイオン種は未だ固定されていない。細胞内で発生するCO_2の水和反応を抑制すると、細胞外グルコ-スにより誘発される脱分極の進行速度が約1/2に低下することは昨年度の研究において明らかにされている。本年度の研究においては次の諸点が明らかにされた。1)HCO^-_31Cl交換輸送抑制実験の過程において、膜電位依存性Ca^<2+>チャネルより負の領域で活性化されるが遅いキネテイクスを持つNa^+チャネルの存在が明らかとなり、正常クレ-ブス・リンガ-液中ではこのチャネルを通る電流によるNa^+_aスパイクがCa^<2+>スパイクのブ-スタ-として働くこと。2)細胞外グルコ-ス濃度が余り高くなく(10〜15mM)、細胞外からCa^<2+>が流入する場合にのみ、スパイク・バ-ストに引続いて休止期が現れること、3)SITSはCa^<2+>に対する透過性を上昇させると考えられること。4)Ca^<2+>を含まないクレ-ブス・リンガ-液にSITSを加えると過分極が起こること。 以上の実験は、β細胞においてもHCO^ー_3ICl^ー交換輸送系が機能しており、細胞内で常時発生しているHCO^ー_3は細胞外に排出され、それと交換にCl^ーが細胞内へ輸送され蓄積されることを示すものである。この実験結果は、細胞内に蓄積されたCl^ーの受動適な流出が背景内向き電流の大部分を運んでいるという考えを支持する。尚、膜電位依存性Na^+チャネルのキネティクスに及ぼすアセチルコリンおよびノルアドレナリンの効果も今後の検討課題である。
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Research Products
(1 results)