1988 Fiscal Year Annual Research Report
マクロファージに存在する膜結合型プラスミノーゲン・アクチベーターの生理学的意義
Project/Area Number |
63570038
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
高橋 敬 島根医科大学, 医学部, 助教授 (40077673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 勝行 島根医科大学, 医学部, 助教授 (60035425)
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Keywords | ウロキナーゼ受容体 / 癌細胞 / 浸潤転移 / サイトフルオロメトリー |
Research Abstract |
培養転移性癌細胞はウロキナーゼ(UK)を多量に合成・分泌し、受容体を発現する。螢光標識UKを目印にサイトフルオロメトリーを行なった結果、発現量に関して様々なクローンから構成されている事が分った。十数種の高発現型クローンを分離出来た。これらは極めて特徴のある性状を示す。即ち、 1.細胞生物学的性状:(1)金コロイド上でクレータ型の移動軌跡(掘削工事跡)を示し、小麦胚レクチンに強く反応する。クローン毎に異なるそれぞれ単一な親和性を示す受容体を持つ。特異抗血清は表面受容体と反応する。(2)受容体結合UK、又は自らのUKにより、細胞レベルでフイプリン溶解反応を示す。 2.受容体の性状:(1)レクチンとUKに結合する糖蛋白質であり、細胞当たり千個から4万個存在する。Kdは10^<-10>から10^<-12>モルまである。(2)アフィニティカラムで55キロダルトンの糖蛋白質が精製され、UKと1対1で結合する。 3.共存蛋白質:(1)ウエスタンブロットと、スキンド細胞モデルを抗体で調べた結果ビンキュリン、フイブロネクチン、アルファアクチニン等と共存する。(2)細胞移動方向のラフル膜に受容体螢光が片寄り、フットプリントと一致する。 4.考察と今後の試み 受容体結合UKは浸潤移動の際、プロテアーゼとして細胞外マトリックス蛋白質を限定分解する重要な役割を担っている事が予測される。即ち掘削工事はマトリックス接着部位において、共存蛋白質と構造・機能的な連係プレーにより起こるものと考えられる。今後この点に力点をおいて、癌細胞の浸潤との関りを明らかにする。
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[Publications] Kei Takahashi,et al.: J.Cell Physiol.
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[Publications] Kei Takahashi,et al.: Cell Struct.Funct.
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[Publications] 高橋敬: "クロマチンの免疫学的研究法(生物化学実験法22クロマチン実験法)" 学会出版センター, 26 (1988)