1989 Fiscal Year Annual Research Report
培養神経細胞を用いた神経細胞膜機能の老化に伴う変化の研究
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63570041
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
堀江 英典 横浜市立大学, 医学部, 講師 (80046135)
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Keywords | 組織培養 / 神経細胞 / 老化 / 浸透圧応答 / 膜の弾性率 / 再生 / マウス |
Research Abstract |
前年度の研究結果、神経細胞に細胞容積調節機能のあること、また細胞容積が増加しはじめてから最大値に達するまでの時間が加齢に伴い長くなってくることが判明した。神経細胞体膜のみでなく、軸索膜においても低張液に対する同様の応答が見られた。神経細胞膜の応答速度が加齢に伴い低下している要因として膜の弾性的な性質の加齢に伴う変化が考えられる。そこでElastic Area Compressibility Modulus(EACM)法を用い神経細胞膜の弾性的な性質を測定したところ、3ヵ月齢の神経細胞では36.5dyn/cm、胎生期の細胞では2.8dyn/cmであった。EACM値の逆数が弾性率を示すことから、加齢に伴って神経細胞膜は硬くなてくるといえる。こうした膜弾性率の低下が低張液に対する応答の年とともに遅くなってくる原因の一つと考えられる。col-chicine,cytochalasin Dを作用させて神経細胞膜の弾性率を測定したとこ、colchicineにより膜の弾性率が増加した。神経細胞膜の伸展性に微小管が関与していることが明らかになった。すでに明らかにされている加齢に伴うフィブロネクチン受容蛋白の減少、膜の流動性の低下を加えて考えると、神経細胞膜は環境の変化に適応しながら、年とともに硬化していくと思われる。分離された神経細胞からの突起再生が加齢に伴い遅くなるだけでなく、in vitroでの神経線維切断端からの再生も遅くなることも見いだされた。その一因として神経細胞膜の硬化をあげることが出来る。細胞内骨格との係わり合いを考慮に入れながら神経細胞膜の硬化の原因を究明し、硬化を防ぐことにより、神経再生能を高め膜の可塑性を高めることが可能になると思われる。こうした研究の成果が老人性痴呆問題解決の一助となるのではないかと期待される。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Hikawa,N.,Horie,H.,Kawakami,T.,Okuda,K.and Takenaka,T.: "Introduetion of macromolecules into primary cultured neuronal cells by fusion with erythrocytes ghests." Brain Research. 481. 162-164 (1989)
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[Publications] Horie,H.,Ikuta,S.,Tkenaka,T.and Ito,S.: "Adaptation of cultured mammalian neurons to a hyotonic envirorsment with age-related response" Brain Research. 477. 233-240 (1989)
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[Publications] Horie,H.,Kim,S.U.and Takenaka,T.: "Immunofluorescence demonstration of neurofilament pdypeptide expression in fetal human neurons in culture." Neuroscience Research. 6. 463-469 (1989)
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[Publications] 堀江秀典: "神経細胞の老化-神経細胞膜の機能の研究からのアプロ-チ-" 組織培養研究. 7. 80-92 (1989)
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[Publications] 堀江秀典,生田信一郎: "年とともに硬くなる神経細胞膜" 生物物理. 29. 29-32 (1989)