1988 Fiscal Year Annual Research Report
カルシウムチャネルの'run-down'についての研究
Project/Area Number |
63570044
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
亀山 正樹 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (60150059)
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Keywords | カルシウムチャネル / ランダウン / パッチクランプ / イオンチャネルの調節機構 / リポゾーム / イオンチャネルの再構成 |
Research Abstract |
Caチャネルには2、3のサブタイプがあるが、最も一般的なL型はチャネルの細胞内側が人工液で潅流されるとその活動が消失することが知られており、run-down現象と呼ばれている。心筋のCaチャネルのrun-downが心筋組織抽出物で阻止されることから、何らかの細胞内蛋白がチャネルの活動に関与することが示唆されている。この研究はこの未同定の蛋白を精製すると同時に、同蛋白のチャネルへの作用機序を解明することを目的として計画された。今年度(初年度)は、同蛋白の精製を進めるために生化学的実験に重点をおき研究を進めた。 1.ウシ心筋Caチャネルを可溶化しリボゾームに再構成した。リポゾームにCaを負荷し膜電位をvalinomycinとKの濃度勾配を利用して変化させ、電位依存性のCa流出を蛍光色素fura-2の蛍光強度の変化として蛍光光度計を用いて測定した。このCa流出は、Caチャネル阻害剤で抑制され、Caチャネルアゴニストで増強されたので、Caチャネルを通ると結論された。また、Aキナーゼのリン酸化によりCa流出が増加することも判明した。 2.再構成リポゾームをアッセイ系として、Caチャネルを活性化する物質の部分精製を試みた。ゲル濾過による分画では分子量20〜30万の部位がCa流出を促進することが見い出された。DEAE-sepharoseカラムでは、約250mMのKClで溶出されることが明らかとなった。さらに、この部分精製蛋白をinside-outパッチに投与すると、run-downしたCaチャネルの活動が回復することが確認された。 しかし、SDS-PAG電気泳動では主バンドは20〜30万ではなく10万以下にあった。この理由として、蛋白の凝集、サブユニット形成、酵素による分解等の可能性が考えられた。
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[Publications] Kameyama,M.: Pflugers Archiv,European J.Physiol.412. 328-330 (1988)
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[Publications] Kaibara,M.: J.Physiol.403. 621-640 (1988)
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[Publications] Kameyama,A.: Biochem.Biophys.Res.Comm.154. 1067-1074 (1988)
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[Publications] 亀山正樹: 病態生理. 7. 599-605 (1988)
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[Publications] 亀山正樹: 日本医師会雑誌. 100. 877-882 (1988)